CO2削減へ再エネ最大限導入

原田義昭環境大臣

 原田義昭環境大臣はこのほど、世界日報社のインタビューに応じ、気候変動対策には温室効果ガスの抑制が重要だと強調し、排出量削減のため再生可能エネルギーを最大限導入していく意向を示した。(聞き手・岸元玲七)

原田義昭環境大臣

 はらだ・よしあき 昭和19年、福岡県生まれ。東大法学部卒。自民党衆院議員(福岡県5区)。厚生政務次官、文部科学副大臣、衆院消費者問題特別委員会委員長などを歴任。当選8回。

気候変動・地球温暖化に対する重点的な施策は。

 温室効果ガス対策としては、まずCO2などの排出量を抑えることが必要だ。政府目標は、2030年度で13年度比26%削減。そのため、環境省として財政支援や技術開発、企業の脱炭素化の加速化などを総動員していく。

 同時に地球温暖化が進んでいくことはある程度覚悟して、その時代に適応する準備をしている。12月の気候変動適応法施行に向け、今月中に政府の適応計画をまとめる予定だ。

企業の脱炭素化はコストが掛かる。

 これまでと違い、環境と経済成長の好循環が生まれている。今では環境対策を採ることが企業イメージを良くし、イノベーションを進め、競争力を高めるなど、むしろ良い方向へ結び付く時代に変わってきた。また、環境マインドの高い企業に投融資を重点的に行う方向へ進んでいる。

30年度までに再エネの割合を22~24%に増やすという政府目標だが、経済協力開発機構(OECD)からは少ないと指摘されている。

 電源構成については、政府内で議論をし、日本のさまざまな事情を踏まえた上でのパーセンテージを出した。まずはその目標に向けて、大事なのは再生エネルギーの最大限の導入をいかに実現するかということだ。

今後、太陽光発電が再エネの中心になっていくのか。

 太陽光はまだポテンシャルの高い電源だ。同時に各電力会社の需給の中にどう入れていくかという問題も大事だ。電力の安定供給や、バッテリーをどう併設するかなど、まだまだ解決すべき技術的な問題がある。太陽光といわず、再生エネルギーの取り組みが日本は弱いと指摘されているので、その辺も含めてしっかり検討していかなくてはいけない。

水素エネルギーの可能性は。

 水素は技術開発が道半ばであり、コストの問題も含めてまだまだ研究途上だ。例えば、自動車や船をどうするか。その分野でもずっと政治家として活動してきたが、間違いなく水素エネルギーは近未来において極めて大事なエネルギー源になる。

原発の今後の位置付けは。

 原子力については、いかなる事情よりも安全性を優先して管理しなくてはいけない。原子力規制委員会という独立機関があり、世界で最も厳しいレベルの新規制基準をクリアした原発だけ認めるというルールになっている。環境大臣としてはその判断を尊重する。原発の扱いについては、政府の方針として可能な限りウエートを下げていく方向で一致している。環境省としても再生エネルギーを最大限導入していく。

レジ袋有料化、統一的に実施を

プラスチックごみ対策の重点施策は。

 (海に残存する)プラスチックごみは、2050年までに世界の海の魚の重量を上回ることが予測されるくらい、海洋生物をはじめ海洋生態系に大きな影響を与える。国際的にしっかり抑制する議論と合わせて、日本も率先して進める。

 環境省の中では、全職員に対して率先してワンウェイのストローなどを使うのをやめようと。他の省庁にも私からお願いし、すでに各省で進めている。全国の企業や官庁、さまざまな組織に同じようなことをお願いしようとしている。結果的に(プラごみを)相当抑制できると思う。

大臣は特にレジ袋の有料化を訴えている。

 レジ袋など部分的にでも有料化することによって、(プラごみ抑制について)より認識を高めることも必要かと思う。有料化をするときには、一部の会社だけ行うということではなく、統一的に実施する方法も考えなくてはいけない。

来年6月にG20サミットの環境閣僚会合が予定されている。

 太平洋側の浜辺には日本のごみが多く打ち上げられるが、日本海側には日本(だけでなく)、中国、韓国、東南アジアからのごみが漂着して浜辺を汚しているという調査結果がある。日本だけでなく、国際的な協力の下にプラスチックごみを抑制しようということを語るつもりだ。

 具体的には、有用な資源を3R(スリーアール)=リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)=でしっかり活用していくこと。それと合わせて「プラスチック・スマート」という国民運動についても発信したい。プラスチックとの賢い付き合い方を推進するキャンペーンで、必要なものは使うけれども、不必要なものを使ったり無駄に捨てたりすることが、海洋汚染につながると理解してもらいたい。