中国共産党の野望と断固戦え

OKINAWA政治大学校名誉教授 西田 健次郎

浦添市長選は安保に直結
容認できぬ那覇軍港即時返還論

西田 健次郎

OKINAWA政治大学校名誉教授
西田 健次郎

 沖縄・那覇市に隣接する浦添の市長選が31日に告示され、2月7日投開票される。筆者はこれまで現職の松本哲治氏を応援してきた。浦添市、沖縄県、日本、アジアと世界の平和・安寧・安定のために、今回も老体に鞭(むち)を打ち、頑張ろうと東奔西走している。

浦添埠頭への移設争点

 選挙の争点は、那覇空港に隣接する米軍那覇軍港の浦添埠頭(ふとう)への移設であろう。政治家、リーダーは、地域、県、国家、世界をどのような理念・政策でリードしていくかが問われる。揺るぎない信念とビジョンを提示し、有権者の審判を仰ぐのが真の姿だ。

 松本氏は3選を目指して出馬する。一方、今回の相手候補は少し前まで共産党市議だった女性だ。共産党を離党したふりをして「オール沖縄」と偽って立候補する準備をしている。垂直離着陸機MV22オスプレイの配備反対と米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対を大義名分に、翁長雄志前知事が呼び掛けて集まったのが「オール沖縄」。この選挙運動組織は思想も政策も定かではない徒党の野合集団であり、昨今では今帰仁村、与那原町、西原町の首長選挙で3連敗をしているのだ。これに巻き込まれた一部保守は既に脱落しており、「オール沖縄」と呼ぶことも憚(はばか)られる。

 辺野古反対だけをアピールすれば、沖縄では勝てるという寓話(ぐうわ)もそろそろ卒業・脱皮し、周辺の安全保障を鋭く分析するのが喫緊で最大のテーマとなるべきだ。

 古(いにしえ)の中華帝国への道を公言し、着々と進んでいる中国共産党の動向を、「隣国のよしみ」とか、「商売の柵(しがらみ)」といったことで看過することはできない。「取り返しのつかない事態を迎えてしまう」と声を大にして訴え続けるべきだ。

 現職の松本氏が那覇軍港移設についての公約を変更したのは事実だが、彼は素直にその誹(そし)りを受け、さらに前に進むことを提言し、市民、県民から一定の理解を得られたのである。ここでは詳しく説明しないが、公約の変更の直接の原因となったのは、無責任にも那覇軍港の返還と移設を切り離す発言をした翁長氏に振り回されたからだ。松本氏は2期8年の間、この問題について実直に市民に語っており、好感の持てるリーダーに成長した。

 一方、共産党隠しの女性候補は、那覇軍港の浦添埠頭への移設に反対で、これを最大の公約として声を大に叫んでいる。ところが「オール沖縄」のリーダー、すなわち彼女の親分である玉城デニー知事は軍港の浦添移設には賛成の立場ではないか。玉城知事の支持母体の共産党、社民党、社会大衆党は移設反対を表明している。彼らは票を取るため、支持を得るために、二枚舌、三枚舌を平気で駆使している。もっと真面目・真剣に政治に関わるべきだ。

 那覇軍港即時返還論は、日米安全保障体制を否定することになり、昨今の中国共産党の動向を見ると、容認できないのは理の当然だ。さらに沖縄が地政学的にアジアの経済のコア(核)に成長してきたのは、那覇空港がアジアのハブ空港として大変革し成長したからだ。

 アメリカ、南米大陸、アフリカ、アジアの大量の生産物を、沖縄が中継加工貿易地として中国・アジア諸国に届けられるポテンシャルがある。この計り知れない夢を着実に成就させるのが、返還後の那覇軍港と那覇空港を一帯としたアジアのハブ港にする大きな経済構想だ。この構想を経済音痴の共産、社民、社大(つぶ)は潰そうとしている。

 南シナ海の制海権・制空権を実質的に手中にした中国共産党は、その行為がハーグの国際司法裁判所で国際法違反という判決に対し、「判決はただの紙くずだ」と批判。次は東シナ海を占領すると公言し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖への違法侵入を日常化し、日本漁船の追跡・拿捕(だほ)もやりかねない状況にある。

香港の二の舞い阻止を

 沖縄県知事いわく「中国は沖縄を侵略していない」。「中国公船がパトロールしているので故意に刺激するようなことは控えなければならない」と言う。この頓珍漢(とんちんかん)な発言は後に撤回した。中国に媚(こび)を売るようなリーダーや、それに追従して中国共産党の実態を知らない「政治屋」を厳しく批判しようではないか。

 今こそ、良識のあるものは自由と民主主義、世界平和のために立ち上がらなければならない。中国共産党の野望である「昨日の香港、今日の台湾、明日の沖縄」を、現実のものとしないために。

(にしだ・けんじろう)