コロナ禍でも成人式が荒れ医療崩壊の懸念も
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
沖縄県では9日から11日にかけてほとんどの自治体で成人式が行われた。新成人の前途を祝したい。
沖縄本島ではすべての自治体が実施にこぎつけたが、那覇市のある中学校区では出席予定者に感染の疑いが出たことから、10日に予定されていた式典が直前に中止になるというハプニングがあった。
沖縄県の成人式と言えば、袴姿の新成人が街に繰り出したり、改造車から体を乗り出して大きな幟(のぼり)を手にしたりする様子が全国的に報じられる。
今年は、玉城デニー知事が成人式後の宴会・集会を自粛するよう要請しており、今年は落ち着いた成人式になると期待していたが、そうはいかなかった。
10日の夕方、北谷町のアメリカンビレッジ周辺には、沖縄本島中部地域から新成人が集まり、警察沙汰(ざた)となったという。
目撃した人の証言を紹介する。
新成人は派手な袴を身にまとい、そこには出身校区の地名が記されていた。改造したオープンカーやリムジンを大人数で乗り回し、警察に制止されていた。一升瓶を回し飲みしたり一気飲みしたりする姿からは、コロナ対策が微塵(みじん)も感じられなかったという。
成人式とその後の宴会参加者では、16日だけで7人の感染が判明した。県当局は、若者を中心に飲酒を伴う会合での感染が目立つとし、改めて注意を喚起した。
新型コロナウイルス感染症の県の専門家会議の委員で県立中部病院感染症内科の高山義浩医師は、成人式があった9~11日の3連休での感染事例が出てくると予測し、「夏と同じ規模の流行が起きると医療崩壊もあり得る状況だ」と語っていた。高山医師の懸念が現実のものとなってしまった。
(T)