社説
医療費抑制、「終末期」への意識変革を
高騰し続ける医療費の抑制が喫緊の課題となっている。さまざまな医療コスト削減案が検討されているが、医療費の膨張を招く要因の一つに終末期医療がある。国の制度改革を進展させる一方で、国民が死をタブー視せず、終末期医療の在り方…
朴大統領辞意、一刻も早い政情の安定を
韓国の朴槿恵大統領は「与野党が議論して安定的に政権移譲する方策を作ってもらえば、その日程と法手続きに従って大統領職から退く」と述べ、2018年2月の任期満了前に辞任する意向を表明した。 大統領が任期途中で辞任すれば、韓…
ミサイル防衛、北の挑発に備え強化急げ
防衛省はミサイル防衛(MD)システムの強化に向け、若宮健嗣防衛副大臣をトップとする検討会を設け、議論を開始する。 今年に入り、北朝鮮による弾道ミサイル発射が相次いでいることを考えれば、当然のことである。 防衛省が検…
高齢運転者事故、運動能力の低下自覚したい
高齢運転者による交通事故が多発している。高齢になれば、運動能力や判断力の低下は避けられない。このことを強く自覚する必要がある。 改正法で認知症検査強化 高齢者が運転する車の事故が相次いでいる。先月28日には横浜市港…
カストロ氏死去、カリスマ的指導者の功罪
キューバ革命を率い、同国の精神的支柱だったフィデル・カストロ前国家評議会議長が死去した。カリスマ的指導者であるカストロ氏の死去は「一つの時代の終わり」と言えよう。 カトリック教徒へ弾圧も だが、現政権に与える影響は…
地方交通網、「住民の足」確保する将来像を
経営が悪化しているJR北海道は、単独での路線維持が困難な赤字の10路線13区間を公表した。対象は、全路線の約半分に相当する約1237㌔に上る。うち3区間は廃止を前提とし、8区間は路線維持の費用について沿線の自治体と協議…
トランプ氏TPP離脱宣言、米国と地域のためになるのか
トランプ次期米大統領が大統領選後初めて、環太平洋連携協定(TPP)から離脱する意向を表明した。 中国を牽制する狙いも TPPは、日米など12カ国が2月に署名した広域の自由貿易協定(FTA)。農産品・工業品の関税削減・…
野党連合政権、共産党の解党が実現の近道だ
日本共産党は来年1月の第27回党大会に向けて決議案を発表し、昨年の安保法制反対運動を契機に始まった野党共闘を次期衆院選で政権選択を問う争点に浮上させようと「野党連合政権」構想を提唱した。しかし、連立により政権交代を実現…
日韓防衛協定、対北抑止力アップに期待
日韓両政府は安全保障上の機密情報を相互に共有・保護するため軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を締結した。核開発や弾道ミサイル発射などで高まる北朝鮮の軍事的脅威への備えとして極めて有効であり、締結を歓迎する。 韓国政…
原発避難いじめ、「事なかれ主義」を猛省せよ
「教育の放棄」と批判されても仕方がない。 東京電力福島第1原発事故で福島県から横浜市に避難した中学1年の男子生徒が、転校先の市立小学校でいじめを受けたことへの学校や市教育委員会の対応である。 背景に周囲の大人の偏見…
地域包括ケア、家族の「互助」が前提である
超高齢社会を迎え、地域ケアにどう臨むか、医療や介護の在り方が問われている。いずれの面でも「地域が主体」となる時代を迎えており、地域の「互助」が重要視されている。だが、その前提となる家族の「互助」が見落とされていないか、…
憲法審査会再開、建設的な議論で合意点探れ
憲法審査会が衆参両院で再開された。7月の参院選で、憲法改正に前向きな勢力が衆参両院で発議に必要な3分の2以上の議席を占めて以降、初の開催となった。公布されて70年を迎え、内外情勢も変化する中、現憲法に限界があることは明…
首相とトランプ氏、友好を同盟強化につなげよ
安倍晋三首相は米ニューヨークでトランプ次期大統領と会談を行った。次期米大統領と日本首相との会談は異例である。 国際社会を安定させる上で各国の首脳同士の個人的信頼関係は欠かせない。その意味で、首相とトランプ氏が良好な関…
露閣僚失脚、領土問題の原点踏まえ対応を
12月中旬の山口県での日露首脳会談を控え、ロシアの捜査当局はウリュカエフ前経済発展相を収賄の疑いで刑事訴追した。ウリュカエフ氏に対し、プーチン大統領は「信頼を失った」として経済発展相の職務を解任した。ウリュカエフ氏は、…
元女優大麻事件、危険伝える教育の徹底を
元女優の高樹沙耶容疑者が大麻取締法違反(所持)で起訴された。岡山と茨城両県では、高校生らが同じ容疑で相次いで逮捕されている。薬物乱用防止の啓発・教育に力を入れ、“大麻汚染”の拡大を食い止めたい。 若年層の乱用傾向増大…
駆け付け警護、国際常識に沿った活動を
政府は、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊に「駆け付け警護」任務を付与する。これで派遣部隊が現地で武装集団に襲われた際には救助してもらうが、他国部隊や人道支援組織が襲撃されても助けないという異常な状…
自律的拡大へ内需の強化を
2016年7~9月期の国内総生産(GDP)は実質で前期比0・5%増、年率では2・2%増と3四半期連続のプラス成長で、15年1~3月期(年率5・0%増)以来の高い伸びになった。 とはいえ、成長は外需主導で内需が相変わら…
日印首脳会談、アジア太平洋で戦略的連携を
安倍晋三首相がインドのモディ首相と会談し、日印両政府は日本の原子力関連技術のインドへの輸出を可能にする原子力協定に署名した。また、両首脳は海洋進出の動きを強める中国を念頭に「一方的な現状変更の試みは認められない」として…
高齢者犯罪、孤立を防ぐ手だてが必要だ
閣議で報告された2016年版犯罪白書によると、15年に刑務所へ入所した65歳以上の高齢者は2313人で、全体の10・7%を占めた。現在の集計方法となった1984年以降では最も多い。 高齢者犯罪の背景には「孤立」の問題…
トランプ氏と北、瀬戸際外交に翻弄されるな
米国の次期大統領に当選したドナルド・トランプ氏が政権移行に向け活動を開始した。日本としては環太平洋連携協定(TPP)の行方と共に北東アジアの安全保障政策でどのような舵取りをするのか気にかかるところだ。特に核・ミサイル開…
博多道路陥没、事故を繰り返した責任は重い
福岡市博多区のJR博多駅前で、市道が長さ約30㍍、幅約27㍍、深さ約15㍍にわたって陥没した。 早朝だったこともあり、歩行者や車が被害に遭うことはなかったが、日中であれば大惨事となりかねない事故だった。 地下鉄の延…
香港議員資格剥奪、「一国二制度」形骸化を許すな
香港独立を視野に入れる「本土派」立法会(議会)議員2人の宣誓問題で、中国は議員資格剥奪に踏み切った。 全人代が基本法を解釈 中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が示した香港基本法(憲法)104条の解釈では、議員…
「家庭教育支援法」は必要だ
家庭教育は子育ての基本のキだ。ところが、都市化や核家族化などによって親たちが身近な人から子育てを学ぶ機会が減っている。そこで国や自治体が責任を持って家庭教育を支援する。そんな趣旨の「家庭教育支援法案」が来年の通常国会に…