野党連合政権、共産党の解党が実現の近道だ
日本共産党は来年1月の第27回党大会に向けて決議案を発表し、昨年の安保法制反対運動を契機に始まった野党共闘を次期衆院選で政権選択を問う争点に浮上させようと「野党連合政権」構想を提唱した。しかし、連立により政権交代を実現するには、基本政策の棚上げよりも、党で政権を担い得る現実的な政策転換をするのが先だ。
伝統的なオルグ活動
共産党は第7回中央委員会総会(7中総)を開き、16日に党大会決議案を示した。ここで、一致点を大切にし、互いの違いを認め合う「本気の共闘」をつくるとしているが、「党の歴史、路線、理念を丸ごと理解していただく取り組みを強める」ことも強調しており、共産党シンパを増やす伝統的なオルグ活動を意味するにすぎない。
このところの選挙に連勝して威勢のいい時に、党勢が弱くなった民進党を「本気」で巻き込むと明言したものだ。
また、同決議案では昨年提唱した「国民連合政府」を「野党連合政権」とも称して、衆院選の選挙協力に「真剣な政策協議」「本格的な相互推薦・相互支援」「政権構想」の三つの合意を目指す構えを示している。
しかし、同決議案でも認めている通り、最大の障壁は共産党への「拒否感」だ。ソ連共産党の指導により結党してから非合法化に至る暴力革命路線、戦後に合法化してからもソ連共産党の指令により暴力革命路線を取った理論的支柱の共産主義を固守しているためだ。近ごろ共産主義を語らずに選挙をして、国民が共産党を受け入れたかのように同決議案は豪語するが、これはごまかしである。
共産主義実現のため資本主義国や資本家として米国や財界を敵視する党綱領を持ち、この独特の価値観から日米安保条約や自衛隊に一貫して反対してきた。その立場を堅持しながら、野党共闘において「いま問われているのは、日米安保条約や自衛隊の是非ではない。安保法制=戦争法」であるとして、「野党と市民の共闘に、日米安保条約や自衛隊についての独自の立場を持ち込まない」と、同決議案は矛盾した主張をしている。選挙戦では都合のいい口実になろうが、万一、政権に就けば国の安保基盤の破壊につながる。
同決議案では、中国共産党を「新しい大国主義・覇権主義のあらわれ」として、核兵器禁止運動への妨害、南シナ海と東シナ海での現状変更の動きなどを批判しているが、将来の自衛隊解消を意味する憲法9条の徹底を呼び掛けるだけでは国を守る備えにならない。もとより中国の力による現状変更の動きに対しては国際社会が懸念してきたことだ。時流に逆らっては選挙に不利という計算がうかがえる。
共産主義と決別せよ
また、かつて革命路線をめぐり激しく対立した日中の共産党は1998年に和解したが、再び批判しており、世界のどこにも共産主義のモデル国がないと認めているに等しいものだ。
ソ連・東欧諸国の体制移行など共産主義の破綻は明白だ。共産党は、多くの人命を犠牲にしてきた共産主義と決別し、解党することが「野党連合政権」の近道だと知るべきであろう。