上昇気流
「虎となり鼠となりて老いにけり」。勝海舟…
「虎となり鼠となりて老いにけり」。勝海舟辞世の句だ。亡くなったのは明治32(1899)年1月19日午後。数えで77歳。この句は死の前年末に詠まれた。 普通の武士だった男が何かの拍子で虎になった。中島敦「山月記」のよう…
フランスの登山ガイドで、エッセイストでも…
フランスの登山ガイドで、エッセイストでもあった故ガストン・レビュファの製作した映画「天と地の間に」(1961年)は、アルプスの美しさと岩登りの楽しさを描いた記録映画の名作。 リズミカルに岩場をよじ登っていく姿は、その…
「ニュートリノ」は+や-の電荷を持たないし…
「ニュートリノ」は+や-の電荷を持たないし、質量もないと思われ、長年“幽霊粒子”と呼ばれてきた。どんな物質も突き抜け、捉えるのに困難を極めた。 そんなニュートリノ研究に果敢に挑戦した梶田隆章・東京大宇宙線研究所長(5…
今年の<ノーベル賞週間>初日の昨日、…
今年の<ノーベル賞週間>初日の昨日、さっそく大村智・北里大特別栄誉教授(80)の医学生理学賞受賞の朗報が入ってきた。寄生虫の感染症に対する新治療法の開発が受賞理由。脚光を浴びる研究の有力候補目白押しの中で大村氏は目立た…
「日本人はスポーツ好きだが、同時に…
「日本人はスポーツ好きだが、同時に『スポーツをする時間が取れない』『1人でスポーツ施設に通うのは億劫だ』などの理由から、スポーツをしていない人がまだまだ多い」(東潔著『スポーツ・インストラクターの仕事と資格』)という。…
「十月と思ひこみゐて不義理せし」(星野立子)…
「十月と思ひこみゐて不義理せし」(星野立子)。秋本番の10月を迎えた。桜の葉も少し色付き、やわらかな秋の日差しが落ちている。 稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』では「暦の上では晩秋にはいるが、実際には、もっとも秋らしい…
歌手の福山雅治さんと女優の吹石一恵さんの…
歌手の福山雅治さんと女優の吹石一恵さんの結婚は、今年最大の芸能ニュースとなりそうだ。「最後の大物独身」の結婚に、大きな衝撃と喪失感を感じている女性たちも多いという。 2人の結婚について、菅義偉官房長官がフジテレビの番…
恒例の「国語に関する世論調査」(文化庁)で…
恒例の「国語に関する世論調査」(文化庁)で、「わたし的には……と思う」という用法が、若者だけでなく各世代で共通して増えていることが分かった。 本来であれば「わたしは……と思う」と言えばすむ話。「わたし」にわざわざ「的…
アジア最大級の映画祭である第28回東京国際…
アジア最大級の映画祭である第28回東京国際映画祭が、今月22日から31日まで、六本木ヒルズ、新宿地区を主舞台に繰り広げられる。日本で唯一の国際映画製作者連盟公認の映画祭だ。 世界各国から集まった約200本の優れた作品…
「漁る」はあさる、すなどる、いさる、と…
「漁る」はあさる、すなどる、いさる、と三つの読み方がある。どれも魚や貝をとるという意味だが、そのニュアンスが微妙に違う。日本人の漁業への関わりの深さは言葉にも表れている。 漁業は古代から重要なたんぱく源を供給する役目…
今や<良識の府>という言葉も死語化している…
今や<良識の府>という言葉も死語化しているとはいえ、何とも不可解なのが参院自民、民主両党幹部による<手打ち>。新聞も産経以外は問題発生そのものを報道せず、24日の<手打ち>も小紙を含め短信扱いでお茶を濁した。 安全保…
現代のコンピューターの性能は18カ月で2倍…
現代のコンピューターの性能は18カ月で2倍、5年で10倍に高まっていく――技術革新のめくるめく速さを表す「ムーアの法則」。国内に優れた研究組織や企業が少ない一方で、他国との技術の差を縮めるのに躍起になっている国には、あ…
中央アジアのキルギス共和国を初めて訪れた。…
中央アジアのキルギス共和国を初めて訪れた。首都ビシケクを走っている乗用車の8~9割は日本車で、ほとんどが中古車だった。トヨタ、ホンダ、日産などの少し型落ちした車のオンパレードである。 キルギス日本センターの高坂宗夫共…
「草ひばり月にかざして買ひにけり」(中村秀好)…
「草ひばり月にかざして買ひにけり」(中村秀好)。そろそろ秋の虫たちの鳴き声が聞こえる季節である。が、まだ時々かすかに耳にするだけで、大合唱まではいかない。 涼しさとともにやってくる虫の音楽会は、秋を実感させる風物詩と…
歌舞伎の人気俳優中村吉右衛門(初代)は…
歌舞伎の人気俳優中村吉右衛門(初代)は晩年、病気がちで好きな蕎麦(そば)を食べに行くことができなかった。そこで番頭に命じて、蕎麦を受け取りに行かせた。が、東京浅草の名店の主人は「持ち帰りはお断り」と言って番頭を追い返し…
秋は美味しい果物の豊富な季節だ。モモ、ナシ…
秋は美味しい果物の豊富な季節だ。モモ、ナシ、ブドウ、クリ。そしてザクロのようなものまでスーパーに並んでいる。中でもナシは夏から秋の終わりまで、さまざまな品種が出回って食卓を彩ってくれる。 みずみずしく、甘く、しゃりし…
文部科学省が文学部など人文社会科学系学部の…
文部科学省が文学部など人文社会科学系学部の縮小、廃止を要請したり、法科大学院定員の大幅削減が決まったりするなど、このところ大学関係でネガティブな話題が少なくない。その一方で、研究所が設立され、新しく生まれる学部もある。…
親御さんたちへ。「道路を横断する時は、…
親御さんたちへ。「道路を横断する時は、信号が青でも右左の安全を必ず確かめること。信号の点滅が始まったら、無理をせず次の青信号まで待つこと」をお子さんに繰り返し教えて――と。 高齢者の皆さんには「横断禁止場所の横断は重…
参院平和安全法制特別委員会の鴻池祥肇委員長…
参院平和安全法制特別委員会の鴻池祥肇委員長(自民)は、安全保障関連法の成立を受け「感無量だ。備えあれば憂いなし。日本の将来を安全にしなければいけないし、日本の国柄というか文化や伝統を守っていく一歩だ」と。 日本が歴史…
「わが頭上最も青し秋の天」(岩崎偶子)。…
「わが頭上最も青し秋の天」(岩崎偶子)。昨日の関東地方は久し振りの晴天に恵まれ、青空が頭上をおおっていた。いかにも秋らしい日和で、木々の葉に落ちる優しい光に満ちていた。 日差しも季節によって印象が違う。夏と冬の日差し…
「男は40歳を過ぎたら、自分の顔に責任を持て…
「男は40歳を過ぎたら、自分の顔に責任を持て」とは米国大統領だったリンカーンの言葉とされる。その伝でいくと、この人はやや武骨な高僧を思わせるしっかりした面構えと言えよう。ただし40歳過ぎのそれではなく、20代30代のこ…
今回の司法試験問題漏洩事件は、発覚の経緯が…
今回の司法試験問題漏洩事件は、発覚の経緯が興味深い。採点を担当した考査委員が答案の論文に違和感を覚えた、とのことだった。 優秀な古美術鑑定家や古美術商が、一瞬で贋作を見抜くのと同様の眼力が働いたようだ。贋作にはある種…
オペラはヨーロッパで生まれ、発展してきた…
オペラはヨーロッパで生まれ、発展してきた舞台芸術だ。台詞だけでなく、歌手による歌唱によってドラマが進行していく。作詞家、作曲家らは、それぞれの国の言語や文化を背景に発展させてきた。 日本でもヨーロッパの名作が上演され…