オペラはヨーロッパで生まれ、発展してきた…
オペラはヨーロッパで生まれ、発展してきた舞台芸術だ。台詞だけでなく、歌手による歌唱によってドラマが進行していく。作詞家、作曲家らは、それぞれの国の言語や文化を背景に発展させてきた。
日本でもヨーロッパの名作が上演される一方、日本語による唱法が研究され、創造的な試みが行われてきた。「日本の土壌から生まれるオペラの創造・普及」を願い、1958年に設立されたのが日本オペラ協会。
81年には藤原歌劇団と統合して財団法人を創設。半世紀の間に「春琴抄」「高野聖」ほか32曲を創造し、「天守物語」「袈裟と盛遠」ほか26曲を公演。先週末には東京のセシオン杉並で「歌まつり」が開かれた。
中村靖さん(バリトン)、家田紀子さん(ソプラノ)、甲本順子さん(ソプラノ)などスター歌手たち22人が集い、持ち歌を披露。鳴海優一さん(テノール)は小道具を使って「サンドイッチ用のパンに」(林望作詞、伊藤康英作曲)をユーモラスに歌う。
家田さんが披露した曲の一つは「六つの信仰歌曲」(河野進作詞、川口耕平作曲)より「よかった」。プログラムの出演者メッセージで「絶望の淵に立たされ乗り越えた人の言葉は、何て温かいのでしょう」と述べる。
それは多彩なプログラムで、同協会総監督の大賀寛さんは、熱唱を聞いて「日本のオペラの創造をこの優秀な方たちといっしょにできることの幸せを感じました」と称えた。