文部科学省が文学部など人文社会科学系学部の…
文部科学省が文学部など人文社会科学系学部の縮小、廃止を要請したり、法科大学院定員の大幅削減が決まったりするなど、このところ大学関係でネガティブな話題が少なくない。その一方で、研究所が設立され、新しく生まれる学部もある。
特に、防災や復興について調査、研究を行う大学の役割が注目されている。福島大学に「災害復興研究所」が設けられたのは、東日本大震災が起きた2011年。被災地での実態調査や被災生活の課題追求で実績を上げている。
東北大学でも震災の翌年、「災害科学国際研究所」を立ち上げた。巨大地震および津波の発生メカニズム解明から被害の状況、将来の評価・予測などを展開し成果を上げつつある。
また、関西学院大学の「災害復興制度研究所」は05年に誕生。学部の学生に対しても講座を設けている。関西大学では社会安全学部が生まれた。既存の学問を総合して、安全・安心をデザインすることのできる人材育成を目的とし、人気の学部だ。
他の国公私立大でも理系文系を問わず、実態調査、復興などの研究が進められ、該当する講座に参加する人文科学系の学生も少なくない。
大学生や受験生は時節に敏感だ。例えば高度経済成長期は工学部、特に自動車関係に人気があった。災害対策は世界的課題だ。「災い転じて福となす」ではないが、先進的な防災対策研究でもわが国が先鞭をつけてほしい。