秋は美味しい果物の豊富な季節だ。モモ、ナシ…
秋は美味しい果物の豊富な季節だ。モモ、ナシ、ブドウ、クリ。そしてザクロのようなものまでスーパーに並んでいる。中でもナシは夏から秋の終わりまで、さまざまな品種が出回って食卓を彩ってくれる。
みずみずしく、甘く、しゃりしゃりした歯触りが、たまらなくうまい。その甘さも糖度13とか14とか、数字で表すのが現代だ。8月に「幸水」、9月には「豊水」が収穫され、いま市場に出ている。
「幸水」は、ナシ栽培の盛んな埼玉県で栽培技術が確立され、全国に広まっていった品種。そして同県の農林総合研究センター園芸研究所が17年かけて育成したのが「彩玉」である。
2005年、農林水産省に品種登録された。が、生産は県内に限定されている。大玉でジューシー、「幸水」以上に甘いという新品種。久喜市でも栽培が盛んで、この夏、同市の鈴木静さんが第1回彩玉なし共進会で県知事賞を受賞した。
収穫期は8月下旬から9月上旬。「幸水」と「豊水」の間の時期だ。蓮田市で果樹園を営む廿浦敏雄さんが「彩玉」を接ぎ木して、収穫ができるようになったのは13年からだった。
今年で3度目の収穫だが、「ナシが熟して、どのあたりで収穫したらいいのか分からなくて戸惑った」と言い、「いっぺんに熟してくるので、いそいで取らなくてはならなかった」とも語る。ナシ栽培の名人だが、新品種への挑戦には試行錯誤が伴うようだ。