フランスの登山ガイドで、エッセイストでも…


 フランスの登山ガイドで、エッセイストでもあった故ガストン・レビュファの製作した映画「天と地の間に」(1961年)は、アルプスの美しさと岩登りの楽しさを描いた記録映画の名作。

 リズミカルに岩場をよじ登っていく姿は、その行為自体が芸術のようであった。岩壁の真っただ中でルートを読みつつ、よどむことなく上へと進んでいく。ここに当時の登攀技術の粋が見られる。

 それから半世紀、クライミング界の若き天才デビッド・ラマが、南米パタゴニアにある、世界一登頂が困難とされた山セロトーレの南東稜に挑み、記録映画「クライマー」(2013年)が製作された。

 ラマが挑んだのは切り立った垂直の大岩壁で、レビュファの登攀技術とは異なっていた。ラマの動きは柔軟で自在で、壁に吸い付いているかのようだ。レビュファの技術では登れない壁だ。

 その違いをつくり上げたものこそ、スポーツクライミングの隆盛である。ラマは08年にワールドカップ総合優勝(リード&ボルダリング)を果たした競技者。そこにロッククライミングの技術が重なってセロトーレ登攀が可能となった。

 20年東京五輪の追加種目の一つとして、スポーツクライミングが国際オリンピック委員会(IOC)に提案されることになった。競技としてのクライミングは登山とは別物。独自のトレーニング、鍛え方で力を付け、技を磨いていく。ぜひとも実現させたい。