中央の支援で住宅問題解決も

二極化する香港 識者インタビュー(8)

親中派団体「愛港之声」代表 高達斌氏(上)

 親中派の民間組織「愛港之声」の高達斌(パトリック・コ)主席に香港政局の現状と未来について聞いた。
(聞き手=香港・深川耕治、写真も)

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 高達斌 香港生まれ。香港理工学院卒業後、親政府派の新民党メンバーとなり、香港の親中派団体「愛港之声」召集人、同主席に就任。中国共産党深圳市委員会統戦部が管轄する深圳市海外聯誼会理事。62歳。

 ――香港が中国に返還されて18年が過ぎた。高度な自治を保障する一国二制度は香港でどれぐらい機能し、達成したか。残り32年でどこまで達成できるか。

 返還18周年が過ぎ、一部の反中勢力が中央政府を恨みの感情から批判し続けているので、香港は中国の望み通りにはなっていない。香港の生活で最大の問題は住宅問題だが、香港には潜在的な刷新力や問題解決力があるので安心して住める環境へ解決できないはずはない。中央政府は香港政府に対してさらに多方面で支持、支援してくるだろう。

 50年間保障される高度な自治は香港が中国本土とうまく融和でき、何の苦労もなく生活できる環境が整うことで可能になる。香港人は現在でも深圳や上海で暮らしても何の違和感もなく生活できている。マクロ的観点に立ち、民生問題が解決できるように望んでいる。

 ――昨年8月末に全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会で提出された香港行政長官の普通選挙改革法案が6月18日、香港立法会で賛成8票、反対28票で否決されたが、どう見るか。

 中央政府としては賛成42票、反対28票で大多数が賛成しているのに否決されたという投票結果を見たかったはずだ。建制派(親中派)の民主建港協進連盟(民建連)議員ら30人以上が投票直前に議会場を退場し、連携が取れなかった。理由は中央政府に建制派議員各自が賛成をできるだけアピールしたい思いと重鎮議員が議場に遅れて投票すらできなかった恥ずかしい原因がある。

 否決されたということは現状維持で2012年と同じ間接選挙を行うことになる。香港市民にとっても中央政府にとっても残念な結果であり、香港の民主化、中国の民主化という観点で失望した。

 中国にとって香港はアジアの金融センターであり、民主化に対する最高の実験場だ。香港で民主化が成功すれば、それを手本に中国本土での民主化を進めることができる。

 香港と隣接する深圳は経済特区として成功しているので、香港の民主化が成功すれば深圳でも民主改革を行い、広東省沿海部、省都・広州まで広がり、他省にも拡大できる。

 残念ながら香港に一部の反共、反中の勢力があり、民主化を阻止するよう扇動している。そのため、香港民主化の道程が5~10年遅れることになる。