香港は連邦制になるのが良い

二極化する香港 識者インタビュー(7)

「社会民主連戦」主席・立法会議員 梁国雄氏(下)

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7月1日の香港民主化デモで演説する梁国雄立法会議員

 ――学生主導の雨傘革命運動は中途挫折し、主導した学生団体は分裂の危機に直面している。成功しなかった原因は何か。

 日本でも1960年代以降、全学連、全共闘がベトナム戦争反対や日米安保反対を全国展開し、内ゲバや分裂、弱体化したのは周知の事実だ。香港の雨傘運動は自発的な色彩が強く、勇気を持って立ち上がった点は長所だが、政治理念が薄弱で歴史認識が曖昧だったことで組織力が脆弱だった点が短所だ。ただし、若者の持つ独特の政治的な求心力はある。今後、しっかりした歴史認識と理論の枠組みを作ることた重要だ。

 ――中国共産党はマルクス・レーニン主義、毛沢東主義、”小平理論を公式理論として掲げている。マルクスの資本論やチェ・ゲバラの生き方を信奉しているあなたが中国共産党に反対しているのか。ソ連はマルクス・レーニン主義を掲げて崩壊した。香港をどうすべきか。

 中国は一党独裁による特殊な資本主義国家だ。日清日露戦争当時の日本のように朝鮮半島、中国を西欧列強から守る名目で植民地化した状況と現在の香港が中国化している状況は似ている。一部の人々が権力を掌握し、他国を侵略する時、どのような抵抗をするか。権力者側の人民への搾取方法の対応次第だ。マルクス主義での意識と形態ということになる。香港は連邦制になるのが良い。

 ――香港の若年層には反中国の本土主義、香港独立論を唱える者も出ている。どう見るか。

 怠け者の考え方だ。幼い子供が親を認めていないようなものだ。親である中国共産党は無理矢理、香港が自分の子供だと言っている形でもあるが、親が理不尽な暴力を振るえば子供は兄弟と協力して抗議すべきだ。一党独裁の中国資本が欧米資本を抑えて香港をコントロールしようとしていることに警鐘を鳴らすべきだ。

 ――1989年6月4日の天安門事件についてどう見るか。

 天安門事件によって中国共産党が中国を正式に治める資格がないことが分かってしまった。中国史では永遠の恥であり、汚点だ。台湾の二・二八事件、韓国の光州事件、南アフリカのシャープビル虐殺事件と同様の汚点だと思う。

(香港・深川耕治、写真も)

 【取材メモ】立法会議員オフィスにはマルクスやチェ・ゲバラの肖像画が飾られ、マルクスの著作集や世界各地の革命に関する専門書が置かれる。共産主義者としての中国批判と過激な行動で中国本土へ入境できない。