「オール沖縄」VS自公、3週連続 選挙イヤー 17市町村長選、30市町村議会選
沖縄県は2018年、11月の実施が予定されている県知事選をはじめ、名護市や那覇市を含め17の市町村長選挙、さらには、30の市町村で議会議員選挙が行われる「選挙イヤー」だ。知事選や市長選は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する「オール沖縄」勢力と、与党の自民、公明との全面対決となる。(那覇支局・豊田 剛)
沖縄県知事・那覇市長選同日も
前半のヤマ場、南城市・八重瀬町・名護市長選
翁長雄志知事(67)は4日の年初演説でこう述べた。
「県民の理解が得られない新基地(普天間飛行場代替施設)建設を進めることは絶対に許されない。今後とも辺野古に新基地を造らせないことを県政の柱とし、県が有するあらゆる手法を用いて取り組む」
政府に対して改めて宣戦布告をしたとも取れる発言だ。
選挙イヤー前半の山場は、2月4日の名護市長選。3選を目指す現職の稲嶺進氏(72)=社民、共産、社大、自由、民進推薦=と、前市議で新人の渡具知武豊氏(56)=自民、公明推薦=による一騎打ちとなる。
12月28日に公明が、渡具知氏推薦をようやく決定したことを受け、自民党幹部が続々と名護入り。菅義偉官房長官は29日、地元経済界や沖縄本島北部の首長らと会談し、北部振興の必要性を強調した。年をまたいで1月4日には自民党の二階俊博幹事長が名護に入り、渡具知氏を激励。引き続き、公明党県本部を訪れ、推薦決定への謝意を伝えた。
渡具知陣営は、「出馬の出遅れと知名度不足で出だしは苦戦したが、相手候補の背中が見えるところまで来た」と手ごたえを感じている。また、稲嶺氏が辺野古移設に反対しているため、年間十数億円もの米軍再編交付金を8年間も受け取っていないことを例に、「イデオロギー優先の市政で経済は疲弊している」と訴えている。
辺野古移設反対を旗頭に集う革新陣営も、年末から動きが慌ただしくなっている。12月29日、翁長氏と稲嶺氏を支援し「オール沖縄」を構成する革新会派は、翁長氏も出席して市内で緊急会合を開き、「手をこまねいているだけでは負けてしまう」などと、出席した議員らが陣営の引き締めを図った。
自公、オール沖縄の両陣営とも、1月21日の南城市長選、28日の八重瀬町長選を、2月4日投開票の名護市長選に弾みを付けるものとして重視している。3週連続の選挙も自公と知事派の一騎打ちの構図が予想され、全県的な選挙運動が展開される見通しだ。自民党県連は「名護で勝つために連勝は絶対必要条件」であると強調する。
南城市は、知名度が高く実績のある古謝(こじゃ)景春(けいしゅん)市長(62)が合併前の知念村長時代を含め4期目を目指す。古謝氏は全国市長会の副会長、沖縄県市長会会長を務め、反知事派の急先鋒だ。
一方、「オール沖縄」陣営は前回無投票の屈辱を晴らすべく、瑞慶覧(ずけらん)長敏(ちょうびん)元衆院議員(59)=民主党(当時)=を擁立。知名度不足は翁長氏とのセット戦術で補う。
翁長県政が誕生して以来、知事サイドは基地問題が焦点となった宜野湾、浦添、うるま、さらには、陸上自衛隊駐屯地建設の是非が問われた宮古島でも敗北。市長選では一度も勝てていない。ただ、この4市すべては現職が勝利しており、翁長氏も「現職は強い」と認めているように、「政治風土が保守的で変化を望まない」(革新系県議)という見方もできる。
渡具知選対は、「全国から労働組合、平和団体が集結して空中戦を展開しており、知名度が抜群の現職を破るのは簡単ではない」と危機感を持っている。
今年後半の最大の山場は県知事選(12月9日任期満了)だ。「オール沖縄」勢力と自民との対決が見込まれる。知事選は11月15日に任期満了の那覇市長選挙と同日に行われる公算が大きい。翁長氏は出馬について明言を避けているが、2期目の立候補は既定路線とみられている。那覇市は、知事に転じた翁長氏の後継指名を受けた現職の城間幹子氏(66)の再選出馬が有力視されている。
対する保守系は、知事選候補として元副知事、保守系市長、経済界、医療・福祉界などから複数の名前が取り沙汰されている。那覇市長選では、経験ある県議らが候補に挙がりそうだ。自民党県連は昨年8月、候補者選考委員会を立ち上げたが、現段階で具体的な人選作業には入っていない。同県連幹部は「名護市長選後に本格的に人選に向けて動く」と見込む。南城、八重瀬、名護で勝利すれば、動きが一気に加速することになろう。
=2018年の主な選挙日程と任期=
1月21日 南城市長選
1月28日 八重瀬町長選
2月 4日 名護市長選
3月11日 石垣市長選
4月22日 沖縄市長選
8~10月 市町村議任期満了
11月15日 那覇市長任期満了
12月 9日 沖縄県知事任期満了