マスコミと自作自演、大田元知事にノーベル平和賞?

歪められた沖縄戦史 慶良間諸島「集団自決」の真実
上原 正稔 (12)

 話は核心に迫ったところだが、ここからは副題の「慶良間諸島の“集団自決”の真相」をしばらく棚上げにして、6月23日の慰霊の日に全県民が祈る「平和の礎(いしじ)」の知られざる大問題に入ろう。

平和の火

沖縄県摩文仁の沖縄県平和祈念公園にある「平和の火」

 昨年4月4日、琉球新報と沖縄タイムスは「大田昌秀元知事がノーベル平和賞候補にノミネートされた」と発表した。「県知事として“平和の礎”を設置した」のが大きな理由だった。「命(ぬち)どぅ宝のマブイ(魂)を継承し、平和の礎を創設した沖縄の人びとにノーベル賞を」という長ったらしい名前の実行委員会が記者会見で明らかにしたものだ。

 共同実行委員は琉球大学の高良鉄美教授、沖縄国際大学の石原昌家名誉教授らだった。その後、沖縄の新聞、テレビは翁長雄志知事らが大田元知事の功績をたたえる会を組織し、政治家らを集めて“祝賀会”を催したことを報道した。

 だが、その裏の醜い真相に触れる記事はなかった。そして昨年6月12日、大田元知事はこの世を思う存分“蹴散らし”、翁長知事に“惜しまれて”この世を去った。

 バカ騒ぎはこれで終わったかと思いきや、つい先日の5月22日、沖縄の新聞は「翁長知事ら平和賞候補に―ノーベル賞委から通知」と報道したのだ。実行委員会は昨年と全く同様に長ったらしい名前で、共同実行代表者の名前も高良氏だ。ノーベル賞の候補者は故大田氏に代え、翁長知事、沖縄平和運動センターの山城博治議長(その素性については読者もご存じの通り)、高山朝光氏(大田知事時代の知事公室長)、石原氏、山内徳信氏(元読谷村長)ら、“オール沖縄”派の人物8人と2団体だ。

 このような人たちがノーベル平和賞の候補にノミネートされるというのは異常であきれるばかりだ。ところで、ノミネートという言葉だが、その意味は“指名される”と思っておられる読者がほとんどだろう。“指名”ではなく“推薦”が正しい。

 ノルウェーノーベル委員会の規約には、「ノーベル平和賞の推薦者と被推薦者の氏名は50年後まで秘密にする」とある。昨年の大田氏や今年の翁長知事らのノミネートの件も、政治利用と売名行為が目的であり、ノーベル委員会の規約に違反していることを指摘しておこう。

 そしてもう一つ。その前の1月28日までに推薦状を提出しなければならないという規約がある。こうした規約についてはインターネットで直ちに判明することだ。いずれにせよ、ノーベル賞を利用して売名行為に走る沖縄の文化人や政治家が本当に恥知らずで人間失格であることはこれから詳述しよう。