「プレ民」の宮城県議選 片隅ベタ扱いのショック

福島は国政並み応援で“維持”

 宮城県議会議員選挙では、民主党と共産党との機関紙上の扱いに明暗がくっきりと分かれた。民主党機関紙「プレス民主」11月6日号は最終面から1枚めくった7㌻目左下の片隅にベタ記事12行と実に目立たない扱いであり、共産党機関紙「しんぶん赤旗」は日刊、日曜版ともトップ報道だった。

 「プレス民主」の扱いは、テストで赤点をとったようなバツの悪さである。記事は、「任期満了に伴う宮城県議会議員選挙は10月25日、投開票が行われ、民主は公認・推薦合わせて7議席を獲得した。当選者は次の通り。…」と7人の名前を触れて終わっている。

 名前だけでは気付きにくいが、一般報道で「2減5議席」とされ数字に加えられなかった無所属の鎌田さゆり、太田稔郎の両氏(推薦)を含めている。ただ、その「7議席」にしても共産8議席の後塵を拝した。これでは自民に対峙(たいじ)する「二大政党」時代も今は昔だ。共産が連呼する「自共対決」に埋没しての県政第2野党への降格である。

 民主は、衆院選後や参院選後には党代表反省行脚など機関紙上でもさんざん選挙の敗因について取り上げたが、回復に結びついていない。東京や京都に続き宮城でも議会選で共産に抜かれてはショックで紙面化できない沈黙だろうか。

 実際、執行部に不都合な動きも宮城県議選を境に出てきた。10月27日には松本剛明元外相が離党。「安保法廃止」で共産との協調路線をとる執行部に見切りをつけた。さらに、党内からは共産と一線を画して野党を結集する「解党論」も公然と飛び出した。その成り行きはともかく、庇を貸して母屋を取られかねない「国民連合政府」への不信感が噴出している。

 岡田克也代表は9月には共産との協力に前向きな姿勢を示したが、党内の反発を受け、10月29日になると選挙協力の前提から「国民連合政府」を外すように求めた。が、宮城で手応えを得た共産は止まらない。15日投開票の福島県議選のビラでも提案した志位和夫委員長と岡田代表の会談の写真を用いて「戦争法廃止の国民連合政府」で集票を試みている。

 民主が福島でまた敗退となれば、解党論と共産との協力推進論の双方から執行部は突き上げられ、いつもの左右対立の板挟みになる。党再生論に立つ執行部は国政選挙並みに岡田代表、野田佳彦元首相、枝野幸男幹事長ら党首脳や大物を現地応援に送り込み、15日の投開票で15議席を確保した。

 これを一般報道は「民主3増の15議席」としたが、実際は2011年の同県議選の当選数をなんとか維持したものだ。前回選挙で民主は15議席を得ており、このうち石原真一郎氏は無所属となり今回で引退、本田朋氏は除籍を経て維新の党に入り今回不出馬、佐藤正隆氏は市長選出馬のため県議を辞職、選挙前までに12議席になっていた。

 民主の党再生の道は険しい。見かけの「3増」に安心しない方がいいだろう。

解説室長 窪田 伸雄