日本維新の会、文通費改革など法案で党活動


HPに「新年動画」、参院選目標は予算関連法案の提出権

日本維新の会、文通費改革など法案で党活動

衆院本会議で代表質問に臨む日本維新の会の馬場伸幸共同代表=20日午後、国会内

 昨秋の衆院選の前まで日本維新の会は政権交代を挑んだ野党共闘から爪弾きにされ、支持率も1未満~2%台と注目度は低かったが、11議席から41議席に躍進してから野党第1党の立憲民主党よりも支持率が高くなっている。今月の世論調査でも時事通信の調査で支持率は維新4・3%、立民4・0%、NHKで維新5・8%、立民5・4%と維新が上回っている。今後、通常国会で存在感が増せば、夏の参院選で台風の目となる可能性がある。

 維新は代表が松井一郎大阪市長、地方政党・大阪維新の会が母体で他に例がない国政政党だ。機関紙誌を持たずネットメディアで情報を発信している。同党ホームページに載る「令和4年 日本維新の会 新年ご挨拶動画」で松井氏は、41議席獲得した衆院選について、「単独で法案を提出できる力を与えてほしい」との訴えを有権者がかなえてくれたと謝意を表明した。

 政府に入る与党と違い野党は議会活動で支持者に応えるしかない。その際、法案を提出できるか否かで訴求力が違う。予算を伴わない法案は衆院で20人、参院で10人以上、予算の伴う法案は衆院で50人、参院で20人以上の賛成で提出できる。維新単独では予算を伴わない法案を、参院に次いで衆院でも提出し得るようになった。

 動画の中で松井氏は、昨年末の臨時国会で国会議員に月100万円支給される文書通信交通滞在費の使途公開を義務付けるなどの歳費法改正案を提出したことをアピール。

 「残念ながら自民党、公明党がこの法案に積極的でなかったので廃案になったが、民間であれば経費は領収書を添付するのは当たり前、余ったら返すのは当たり前」「これでは経費ではなくお小遣い」と批判し、「今年も国会で納税者の感覚で経費の使い方を見直していく」と訴えた。提出した法案で有権者に党を売り込んでいく構えだ。

 また、「法案を出したからには自らできることはやる」として、昨年10月末の衆院選で当選した議員に10月分100万円が支給された分を被災地支援に回し、ホームページで所属議員の使途を領収書添付で公開していることを強調した。

 動画で同党国会議員団の馬場伸幸共同代表は、参院選について「6名の改選だが、12名、倍増になることを目標にしている」と述べた。非改選の9人を合わせて20議席以上になって、参院で「予算関連の法案を提出することができる」ようになる目標設定だ。維新は参院では2016年参院選の結果12議席を獲得し、予算の伴わない法案提出権を得ると「目指せ法案100本提出」のプロジェクトを開始した。予算関連法案の提出が可能になると国会での立法活動の幅が増す。

 馬場氏はまた、衆院選で躍進して注目されることについて、「実績に対する評価ではないと自覚している。維新に期待する票によって復調を果たすことができた」と自戒気味だ。

 維新は12年衆院選で54議席を獲得し脚光を浴びた。しかし、創党者で大阪府知事・市長を務めた橋下徹氏の政界引退、維新の党に党名変更した後、民主党との合流による民進党結成など野党再編で分裂、埋没する辛酸をなめている。

 馬場氏の言う「復調」だが、集票は12年衆院選で比例票694万票、得票率11・64%、15年維新の党では838万票、15・72%、分裂した17年は338万票、6・0%、昨年は805万票、14・01%だ。参院選比例区の当選目安はおおむね100万票で1人であり、最近の支持率を背景に衆院選で得た800万票を超え、参院地方区で4議席獲得すれば目標ラインに届くことになる。

編集委員 窪田 伸雄