「公明新聞」“立党の武器”強調し購読推進

創刊60年の節目、勢力拡大に日刊機関紙を活用

 公明党の機関紙「公明新聞」は、「公明党にとって今年は、『大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく』との不変の立党精神を、党創立者が示されてから60年の節目となる」(1・1「主張」)と、節目の年を強調して党勢拡大や夏の参院選必勝を期している。目標として埼玉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡の7選挙区および比例区7議席の14議席確保、比例得票総数800万票を掲げた。

 同じく公明新聞も、「党創立者」=創価学会のリーダー・池田大作氏の立党提唱による創刊から60年の節目を迎えるとして、機関紙活用による党勢拡大を訴えている。同紙13日付1面に「公明新聞で党勢拡大/活発に全国購読推進委員長会」の記事を載せ、党本部と地方をオンラインで繋(つな)いだ12日の同会議を報じた。

 この中で山口那津男代表は、「『立党の原点に立ち返り、大衆とともに語る。その武器が公明新聞だ』と力説」し、「与党唯一の日刊紙として『継続して公明党や与党の動きを体系的に捉えている大きな意義がある』と強調」したという。

 また山口氏は、「『党の活動の源泉は公明新聞の購読にあるという認識を改めて共有したい。…購読推進に全力で頑張ろう』と呼び掛けた」として、2~3月を「集中期間」とするキャンペーンに力を込めている。17日付にも1面で茨城県での購読推進を報じるなど、機関紙重視の運動を繰り広げている。

 機関紙拡大では共産党の「しんぶん赤旗」日刊紙・日曜版販売運動が目立つが、ある意味では公明党陣営は共産党以上に新聞を通じた党勢拡大に熱心かもしれない。それは創価学会が公明党の母体であり岩盤基板であることを踏まえれば、政党紙ではないものの同教団の「聖教新聞」という“もう一つの機関紙”が存在するからだ。

 公称550万部の聖教新聞を背景に、公称80万部の公明新聞をツールとした党勢拡大が集票のバロメーターになる。だからこそ、党を挙げて購読推進の檄を飛ばすのだろう。公明新聞は「赤旗」12ページよりページ数は8ページと少ないが、テレビ欄や一般ニュースも織り交ぜている。

 再編を繰り返す「新党」では機関紙が育たない。マスコミやネットでブームが生じても党員は少ない。機関紙誌の中でも日刊紙を持ち、その購読者を増やして有効な党勢拡大運動ができる政党は公明党と共産党だけだ。

編集委員 窪田 伸雄