「プレ民」に連合前会長 支持増えない民主に注文

結集軸だった「反自民非共産」

 民主党機関紙「プレス民主」10月16日号は「古賀伸明氏が語る、労働運動の10年」と題し、日本労働組合連合会(連合)会長を7日に退任した古賀氏と岡田克也代表の対談を掲載。労組・連合と民主党執行部の結びつきを示した。

 ただし、連合側から見て民主党は今も頼りなく映っている。古賀氏は「民主党政権を振り返ると、僕はやはり残念でならなかった。今でも地域をまわると民主党への視線は依然として厳しい」と述べている。組織力にも注文しており、「組織で育ったわれわれから見ると、民主党は組織運営の基盤ができていないと言わざるを得ない部分が多々ある」と厳しい。

 古賀氏はまた、「地方議員を増やし地域との連携強化」の必要を説き、さらに「内閣支持率が下がっても、民主党支持が増えないのが気掛かりです。国民の声の受け皿になり得ていないことを厳しく受けとめて」と直言した。お説教のようだが、言外に労組の力の限度を民主党側に認識させているとも言えよう。

 民主党は労働界再編を後追いした政界再編から生まれた。日本労働組合総評議会(総評、旧社会党系)と全日本労働総同盟(同盟、旧民社党系)などが合流してナショナルセンター・連合が1989年に結成され、初代会長の山岸章氏が「反自民非共産」を結集軸に政界再編の執念を燃やした結実だ(96年結党)。

 民主党は98年、03年の他党吸収で後援組織を自ら持つ元自民党など保守系議員が増えて支持の幅を広げた。同号には「参院選のデータ」が載るが、票の出方は04、07、10年は自民党を上回り2000万を超えている(選挙区総得票)。労組の力を超えて政権を獲得したのだ。が、政権時代の分裂・離党・落選で保守系議員が減り、労組依存が強まったところで、今度は連合前会長から自助努力を求められた。

 民主党は来年参院選の勝敗の鍵を32の1人区と見ており、政権時代の10年参院選で自民党に得票数で勝ちながら議席で負けた敗因は「1人区での『自民21、民主8』という結果」と強調している。その1人区に共産党が選挙協力で誘い、安保法制反対を端緒に「国民連合政府」入りを狙っている。かつて参院選1人区で擁立された「反自民非共産」の連合型無所属候補は民主党の雛形だが、今や共産党が「非共産」を外そうと躍起だ。

 「プレス民主」はまだ共産党の提案を扱っていない。ただ、「あなたの声に民主党が答える」という欄で、「民主党がすべての野党を集めて連立選挙戦の記者会見を」と求めた50代女性に、「広報委員会」の記名で「新安保法廃止の一点に絞った連立政権構想などの思い切った提案も出されていますが、民主党としては、まず野党第1党である民主党と第2党である維新の党が基本的な政策の柱について協議を進め、野党連携の結集軸を野党各党や国民の皆さんにお示しすることが重要かつ現実的だと考えます」と答えた。

 果たして如何なる結集軸が示されるのか。

解説室長 窪田 伸雄