「赤旗」の8・30デモ 「12万」に透ける世間体
低い「主催者」の動員率
日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(8・31)1面は、8月30日国会前の反安保法制デモを「12万人怒りの包囲」の特大見出しに紙面半分以上を写真で埋めた。サブ見出しは「戦争法案ノー全国1000カ所超」。主催者発表を吹聴する機関紙そのままで、警察発表3万3000人の併記はなし。
マスコミでは共同通信などが「12万」を流し、配信を受けて報道した地方紙複数の写真を「赤旗」(9・1)は掲載しているが、マスコミは「主催者」について殆ど触れない。
しかし、「赤旗」は「主催者」とツーカーの関係だ。デモ報道のたびに主催者「総がかり行動実行委員会」と書いている。フルネームは「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」。その連絡先は三つある。①「戦争をさせない1000人委員会」②「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」③「戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター」だ。各団体のホームページ(HP)を追ってみよう。
①の発起人は、雨宮処凜、内橋克人、大江健三郎、大田昌秀、奥平康弘、小山内美江子、落合恵子、鎌田慧、香山リカ、倉本聰、佐高信、瀬戸内寂聴、高橋哲哉、高良鉄美、田中優子、山口二郎の各氏ら左派系の文化人。
②は事務局団体に、「憲法改悪阻止各界連絡会議」「『憲法』を愛する女性ネット」「憲法を生かす会」「市民憲法調査会」「女性の憲法年連絡会」「平和憲法21世紀の会」「平和を実現するキリスト者ネット」「許すな!憲法改悪・市民連絡会」など、共産党、旧社会党(現在は民主党、社民党、新社会党などに分裂)系および諸派の護憲団体が名を連ねている。
③は運営委員会構成団体に、全国労働組合総連合(全労連)、全国商工団体連合会(全商連)、新日本婦人の会(新婦人)、農民運動全国連合会(農民連)、日本民主青年同盟(民青)、全日本民主医療機関連合会(民医連)、「平和・民主・革新の日本をめざす全国の会」(革新懇)、自由法曹団、憲法改悪阻止各界連絡会議(憲法会議)、共産党―がなっている。つまり共産党も「主催者」なのだ。
③のHPには各団体の勢力が載る。全労連130万人、全商連31万人、新婦人20万人、農民連4万人、民医連5万6000人、革新懇450万人、自由法曹団1700人などだ。単純に合計すればこれだけでも640万7700人。党員と――が加わればもっと多い人数になる。
となると「主催者」の世間体が分かろう。「赤旗」は「国会大行動を呼びかけた総がかり行動実行委員会が『12万人の参加で成功した。全国1000カ所以上で数十万人の人がいっせいに行動に立ち上がった』と紹介」と書くが、「全国100万人大行動」は主催者発表でも「数十万」、実際は国会前デモの警察発表の例からさらに少ないので、組織動員率は1割未満と考えられる。マスコミは「政治と関係ない一般の人が参加」と伝えており、ならばなおさら「党の地力」が問われる。
解説室長 窪田 伸雄





