統一選前半戦の「赤旗」 独善的に捉える「民意」
弱気民主の虚を突く共産党
統一地方選前半戦の結果を受け、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(4・14)は「前半戦の成果を確信に、後半戦で必ず勝利・躍進を勝ち取ろう」と題する党中央委員会常任幹部会の文書を1面に掲載した。
41道府県議選で前回当選80から111議席、政令市議選で前回当選107から136議席に伸びたので自賛を重ねているが、「日本共産党は、政治論戦で、地方選ではあっても、安倍政権があらゆる分野で民意に背く暴走をしているもとで、地方から審判を下そうと訴えました」と、合点がいかないことを述べている。「あらゆる分野で民意に背く」なら、選挙で過半数議席を取れないので政権を獲得できない。
どうやら共産党にとって「民意」とは、革命を目指す党綱領に沿った公約に支持または同調する人々の意思表示だけをいうようだ。独善的な捉え方である。議席が増えたとは言っても、41道府県議選では定数2284のうち111である。自民1153、民主264、公明169に次ぐ4番手にすぎない。地方選であっても安倍政権に地方から審判を下そう―という共産党の訴えをこの結果に当てはめるなら、民意は大差でこれを拒否したと考えるのが普通である。
しかし、「赤旗」は「共産躍進」などの見出しをとった地方紙の写真まで載せ、日頃「暴走」批判を向ける自民党からも谷垣禎一幹事長の記者会見発言を引いて、「“共産党に存在感”/自民・谷垣氏」の見出しで自賛記事に仕立てた。
「自民党の谷垣禎一幹事長は13日の記者会見で、日本共産党が議席を伸ばした要因について問われ、『積極的な候補者の擁立よりもできるだけ確実に当選者を出していこうという党がある中で、自民党に対する批判勢力として共産党が目立ったという面があった』と述べ、批判勢力としての日本共産党の存在感を認めました」(2面)
果たして「赤旗」記事の通りに共産党の存在感を評価したのかは疑問だが、コメント前半の民主党の消極的な選挙姿勢の指摘に意味があるのではなかろうか。
41道府県議選で民主党は前回572人立候補して346人当選、当選率は60・4%、今回は345人立候補して264人当選、当選率は76・5%。守りに入って当選率は上がったが、当選数を82も減らした。
今回共産党は弱気な民主の虚を突いて前回より立候補者を50人増やす275人が立候補し111人当選したが、当選率は40・3%、前回の当選率は35・5%だった。
地方選における共産党の問題は、同紙の党中央委員会常任幹部会の文書記事に見られるように地方選であっても政権への審判を求め国政批判が過ぎることである。さらに、あわよく与党となったら綱領路線に基づき地方自治体を国と対決させる闘争観があることだ。昨年11月の沖縄県知事選で発足した現在の翁長沖縄県政がその典型例である。
解説室長 窪田 伸雄





