18歳選挙権に各党関心 改憲手続きの教育も必要

 「20歳以上」の選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改正案を与野党6党が国会に再提出し、成立する見通しだ。来年夏の参院選を見据えて各党とも10代有権者に関心を示しており、自民・民主の機関紙では高校や大学などで政治参加を考え、関心を持たせるよう訴えている。

 「18歳以上」への引き下げは、国民投票法に関係した懸案で、もとは憲法改正論議から浮上したものだった。自民党の機関紙「自由民主」4月14日号1面の「『18歳選挙権』若者の政治参加拡大を/逢沢一郎党選挙制度調査会長に聞く」の記事で、逢沢氏は次のように経緯を述べている。

 「昨年6月、当時の与野党7党で共同提出した『改正国民投票法』が成立しました。これは憲法改正に関わる国民投票の投票権年齢を施行から4年後に『20歳以上』から『18歳以上』に引き下げるというものですが、共同提出に向けた議論の中で、(1)改正法施行後2年以内に18歳に引き下げることを目指す(2)改正法施行後4年を待たずに選挙権年齢が18歳に引き下げられた場合、同時に国民投票法の投票権年齢も18歳に引き下げる措置を講ずる―の2点について合意しました」

 今国会で18歳選挙権が実現すれば4年を待たずに国民投票の投票権も18歳以上になる。同紙は「政治参加教育が不可欠」の見出しも取るが、この教育には憲法改正手続きも忘れてはならないだろう。

 民主党の機関紙「プレス民主」4月3日号では、「選挙権年齢18歳以上へ引き下げ/若者の政治参加をどう後押しするか」という座談会を細野豪志政調会長と若手議員と大学生らが行い、4~5面で掲載している。が、憲法改正手続きの国民投票法にはまったく触れていない。

 「18歳」は、もともと憲法改正手続き法(国会法改正、国民投票法制定)案を策定する際の民主党の主張だった。「20歳以上」を主張していた自民・公明の与党は民主党案に応じて自ら法案を修正、2007年の第1次安倍内閣の下で成立させたが、民主党は反対した。10年に同法が施行されても、附則に定めた投票権18歳以上と連動する公職選挙法に定める選挙権18歳以上への引き下げに当時の民主党政権は何ら着手しなかった。

 いわば自らの主張に無作為だった民主党に対し、自民・公明が誠実に遂行している。民主党の野党転落後の第2次安倍内閣になって国民投票法は昨年、与野党合意の下に附則によって機能しない問題を解消する改正をし、今国会で「18歳選挙権」を実現する運びになった。

 ただ、新たな票田が生じるとなると、どうしても各党・政治家が関心を向けるのが選挙での当落への影響だ。「18、19歳の方々はインターネットに非常に親しんでいる世代でもあります」(「自由民主」・逢沢氏)との指摘もある。

 すでにネット選挙が解禁されており“スマホ選挙”の過熱も予想されるところ、“ゆるキャラ”に左右される投票判断にならないよう「政治参加教育」の成果を望みたい。

解説室長 窪田 伸雄