中国 無人の宇宙往還機打ち上げ
専門家 衛星破壊への利用警告
中国が再利用可能な無人宇宙往還機を打ち上げていたことが明らかになった。中国の国営宇宙開発企業は「平和的な宇宙探索」が目的としているが、専門家は、軌道上の人工衛星の破壊など、軍事利用も可能だと警告している。
中国の宇宙開発を請け負う国営の中国航天科技集団によると、宇宙船は中国北西部の酒泉衛星発射センターから4日、長征2Fロケットに搭載して打ち上げられた。同社の発表によると、再利用技術の検証と「平和的な宇宙探索」が目的だという。
米空軍はすでに無人の宇宙往還機X37Bを運用している。これまでに6回の飛行を行っているが、その目的や任務は明らかにされていない。今後、宇宙軍による宇宙防衛の要になると考えられている。
中国の無人宇宙船の映像などは公開されていない。シンクタンク「宇宙法・政策ソリューションズ」の宇宙専門家マイケル・リスナー氏は、「X37Bの運用をまねたもののようだ。X37Bは実験機とされており、公式には宇宙の平和利用を推進するとされている」と指摘、中国の宇宙船は「極秘の国家安全保障に関わる任務も負うことになる」と予測した。
中国の宇宙開発は軍が担当しており、米国防総省の中国軍に関する最新報告によると、中国は宇宙での戦争能力を急速に増強している。
報告は「中国共産党は、公式には宇宙の兵器化に反対しているが、宇宙での軍事的能力を強化している」と指摘、「運動エネルギー弾、地上発射レーザー、宇宙ロボットなどさまざまな対宇宙能力・技術の開発を進め、宇宙監視能力も強化している」と中国軍による宇宙開発に警鐘を鳴らしている。
中国はさらに、2022年までに宇宙ステーションを設置し、外国からの物資や人員も受け入れる計画だ。
アシュレー米国防情報局(DIA)長官は昨年、ロボットアームを搭載した衛星が配備されれば、「軌道上の衛星を無力化できる」と宇宙兵器の脅威を指摘していた。
共産党機関紙・人民日報系の環球時報によると、西安宇宙推進研究所が3月、次回の長征2Fロケットで、有人宇宙開発と次世代航空宇宙技術の一環として重要な実験ミッションを実施することを明らかにしていた。同紙は、中国の再利用可能な宇宙船は、宇宙観光、宇宙飛行士の輸送、宇宙ステーションへの補給、低軌道への衛星投入などに利用可能としている。