県民に皇室への理解深まる
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
5月1日、令和時代が幕を開けた。沖縄県庁には記帳所が設けられ、地元紙は号外を配布するなど、県民こぞって天皇陛下御即位を祝賀する雰囲気が醸成された。
第2次世界大戦末期の沖縄戦では多くの住民が犠牲になり、その後、沖縄県が米軍統治下に置かれたため、皇室をよく思わない県民が多いと周辺から聞かされていた。しかし、それは過去のものになったと言えよう。
女子学徒隊として沖縄戦に動員された白梅学徒隊中山きくさん(90)は以前、「天皇皇后陛下(現在の上皇上皇后陛下)が沖縄戦の全戦没者に心を寄せていらっしゃる姿を見て自然と涙が出た。皇室に対するわだかまりがだんだんなくなった」と話している。
沖縄タイムスと琉球放送が4月27、28の両日に行った県民意識調査によると、上皇陛下(調査当時は天皇陛下)に「好感が持てる」が87・7%に上った。
1989年に同紙が行ったご即位1カ月後の調査と比べ、約35ポイントも上回った。皇太子時代を含めて11回も沖縄を訪問されるなど、沖縄に寄り添われる姿勢が県民に理解された結果だろう。
今上陛下も同様に、沖縄県民にとって「好感が持てる」お方に違いない。これまで、沖縄を5度訪問されている。初の来県は1987年9月の沖縄海邦国体の開会式に参加されるためで、当時は皇太子即位前だ。皇太子に即位されてからは、97年7月、2001年4月、05年4月、それぞれ行事出席のために来沖された。最近では、10年7月の全国高校総合体育大会「美ら島沖縄総体」開会式に出席された。
沖縄御来訪の際には必ず、糸満市の国立沖縄戦没者墓苑で供花と拝礼をされている。上皇陛下の戦没者を慰霊するお気持ちをそのまま受け継がれておられる証拠だ。
(T)