憲法記念日 令和元年、真正面から議論を
首相、改憲派集会でメッセージ
令和を迎え初の憲法記念日の3日、全国各地で憲法改正推進派と護憲派がそれぞれ集会を開催した。安倍晋三首相は都内で行われた公開憲法フォーラム(主催・民間憲法臨調など)に、自民党総裁としてビデオメッセージを寄せ、「憲法は次の時代への道しるべだ」とし、「令和元年という新たな時代のスタートラインに立って、どのような国づくりを進めていくのか真正面から議論を行うべき時に来た」と述べ、改憲論議の活性化を呼び掛けた。
2年前、首相が同フォーラムへのメッセージで、2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと述べたことについて「今もその気持ちは変わらない」と強調した。
その上で、災害救助やPKO(国連平和維持活動)による国際貢献などにより、自衛隊に良い印象を持つ国民が9割に達していると自衛隊員の活動を評価。「次は、政治が役割を果たす時だ」として、「憲法にしっかりと『自衛隊』と明記し、違憲論争に終止符を打つ」と、改めて9条改正に強い意欲を示すと、約1100人が詰め掛けた会場から大きな拍手が起きた。
中曽根康弘元首相もメッセージを寄せ、憲法の在り方について「日本民族の歴史、伝統、文化を普遍的価値として捉え、国の規範として国民が分かち合い、共に歩む道しるべとなるべきものだ」とし、後世に伝えるべき憲法の実現を呼び掛けた。
また、民間憲法臨調代表でジャーナリストの櫻井よしこ氏は、敗戦直後の日本が、国家存続のため現憲法を受け入れざるを得なかった悔しさは、憲法改正なくしては乗り越えられないと指摘。その上で、憲法審査会での論議が停滞していることについて、改憲を党是とする自民党をはじめ与野党を厳しく批判しながら、「憲法改正なくしてわが国の再生はない。憲法審査会を一日も早く動かし、素晴らしい令和の時代を一緒に切り開いていきたい」と訴えた。