「自由民主」の「竹島の日」
不法占拠に法で解決強調/韓国にICJ審判求める
自民党の機関紙「自由民主」(3・10)に2月22日の「竹島の日」記念式典の記事が載った。3面全㌻で大きな扱いだが、最近の同紙では控えめである。昨年は3月11日号5面全面でカラー、2013年は2月26日号4~5面見開き2㌻の特大企画のうえ式典報道を3月5日号1面に載せた。
今年は島根県が「竹島の日」を決めた条例制定から10年という節目で、マスコミ既報のとおり韓国で案の定、反発が巻き起こった。韓国の前代の李明博大統領の竹島上陸で日韓の国民感情が険悪になり、朴槿恵大統領は日韓首脳会談に応じない冷たい関係になった。外交上好ましいことではなく打開が模索されているが、関係冷却化で対韓外交のプライオリティーが下がり、ストレートな主張になったと見える。
記事の見出しは「国民運動を強力に展開」「『竹島の日』記念式典、街頭演説会」「田中組織運動本部長『わが党が先頭に立って取り組む』」。記事によれば、式典であいさつした田中和★同党組織運動本部長は次のように述べた。
「李承晩ラインを一方的に設定し、今日まで竹島を不法占拠し続けていることにあらためて強い憤りを感じる」「歴史は一つしか存在しない。戦後わが国は韓国側が主張するさまざまな歴史観に寛大であり続けたが、もはや看過することはできない。韓国は第三者の客観的な評価に耳を傾けるべき」
韓国大統領の竹島上陸に関して当時の民主党首班・野田佳彦首相が記者会見で、「竹島は歴史的にも国際法上も、日本の領土であることは何の疑いもありません。……戦後、サンフランシスコ平和条約の起草の過程においても韓国は日本による竹島の放棄を求めましたが、米国はこの要請を拒否しています。こうした経緯があったにも関わらず、戦後、韓国は不法な李承晩ラインを一方的に設定し、力をもって不法占拠を開始したのです」(2012・8・24、在カナダ日本大使館HPより)と述べた。「自由民主」掲載の田中党組織運動本部長の主張も野田元首相が述べた政府の立場と同じである。
実は韓国大統領上陸の事態が起こる前、10年3月2日号の同紙1面肩の「竹島の日」式典記事で「鳩山総理の『友愛外交』に疑問」と民主党政権に警鐘を鳴らしていた。記事によれば自民党の式典参加は同年が初めてで、細田博之元幹事長が「北海道教職員組合が竹島問題を『韓国の主張が事実』としていることに、『とんでもない話で、国を裏切るものである』と批判した」という。その民主党政権で上陸事態の対処に追われる顛末となった。
取り戻す方法だが、「国際司法裁判所(ICJ)に審判を委ねる」(同紙)ものだ。国際法を根拠とする我が国の主張はもっともだが、解決をICJに委ねるにしても韓国が応じなければならない。民主党政権はICJに提訴したものの韓国は拒否している。前途多難だが、領土問題はお互い主張し合ってやっと平行線。黙れば「解決済み」の烙印(らくいん)が押される。
解説室長 窪田 伸雄
★=徳の心の上に一