「プレ民」の統一選 岡田執行部の初戦へ気勢
「生活・地域起点」打ち出す
民主党の機関紙「プレス民主」3月20日号に統一地方選挙に向けた岡田克也代表インタビューとともに、10日現在の候補予定者のまとめが載った。道府県議会選447人(公認342、推薦105、現職290)、政令指定市議会選198人(公認180、推薦18、現職143)だ。
2011年の前回は菅直人内閣で東日本大震災への対応が批判される逆風だったが、道府県議選に572人が立候補し346人当選、政令指定市議選に237人が立候補し147人が当選した。現職の候補予定者の目減りは離党の影響が大きい。
民主党は今回の統一地方選に対しては昨年臨時国会前の9月に行われた両院議員総会で「再生に向けた始動」と位置づけて準備してきた。3月1日党大会では「『生活起点』『地域起点』の旗を掲げて統一自治体選挙の勝利を誓う」(同紙3・6号)と、岡田執行部の初戦となる選挙に気勢を上げている。
「生活起点」「地域起点」のキャッチフレーズについて岡田代表はインタビューで次のように語っている。
「『地域のことは地域が決める』というのが、地域主権改革の最も重要なコンセプトですから、そこは自民党政権とは根本的に違います。そういうわれわれのコンセプトを表すものとして『地域起点』を掲げました。さらに『生活起点』というキャッチフレーズには、『地域起点』の基になっているのは生活者一人ひとりだという思いがあります」
党理念の岡田代表なりの言い回しであるが、「地方起点」には「ローカルマニフェスト」(地方選公約)を党地方支部が決める方針も含む。2月の同紙では奈良県、大分県、神奈川県、三重県、川崎市のものが紹介された。
その「政策素材集」となる「統一自治体重点政策」を細野豪志政調会長が提示し、同紙(3・20号)に4~5面見開きで載せた。外交・安保がアキレス腱の国政よりも、住民に身近な課題が焦点となる地方選は民主党にとって政策的には有利であろう。
今回の統一地方選では、農協(JA)改革や環太平洋連携協定(TPP)交渉などで、地方農村部の保守層の自民党に対する農政批判が焦点となっている。日本共産党の機関誌「前衛」3月号「二〇一四総選挙 画期的躍進の記録 ブロック責任者リポート」には、「支持を表明してくれた農協幹部の方は全道各地に広がりました」(青山慶二党北海道委員長)、「東北六県すべての農協中央会を訪問」(中島康博党宮城県委員長)、「群馬県では、TPP反対で力を合わせてきたJA幹部が、『比例は共産党に入れた』」(荻原初男党埼玉県委員長)など、農政批判で支持を得た例が多く語られている。
批判票は野党の奪い合いになるが、民主党に次ぐ野党は道府県議選や政令市議選では共産党だ。民主党は一昨年の東京都議選で共産党にも負けただけに、与党候補との対決の一方で、保守層に「一点共闘」を売り込む共産党候補の追撃への対処も統一地方選の勝敗を左右するだろう。
解説室長 窪田 伸雄