「結婚出産」に支援策強調、人口減少と「プレ民」
「次の内閣」経済政策で重視
人口減少が問題になっている。5月に総務省、日本創生会議など官民が発表した人口の統計や推計は深刻で、少子化・人口減少対策は政府が下旬に発表する「経済財政運営の基本方針」(骨太の方針)に初めて盛り込まれる。
これに先がけ民主党は「次の内閣」会議を5月27日に開いて経済政策を決定し、機関紙「プレス民主」(6・6)に桜井充政策調査会長の寄稿を載せた。「今般まとめた民主党の経済政策は人口減少に正面から取り組み、地域振興に向け新たな基軸を打ち出し」たという。
国会勢力が「一強多弱」になり、民主党のシャドウ・キャビネット「次の内閣」も影が薄くなったが、それでも二大政党に踏みとどまる意思はあろう。「『中間層』と『地域経済』を再生し、持続的な成長へ」と名付けた同党経済政策は、骨太の方針への対案だ。
ここで桜井氏は「これまでの少子化対策は保育所増や『仕事と家庭の両立』が中心でしたが、人口減少問題の重要性をふまえれば、これらに加えて結婚前、出産前の支援策も強化していく必要がある」など、結婚・出産の適齢期である若年層への政策を強調しており、この問題に「正面から取り組む」という。
寄稿は、日本経済低迷の主因を1997年から消費が伸びなくなったことにあるとして、その原因を、①現役世代(生産年齢人口)が95年をピークに減少に転じた②収入も低迷した(特に20代、30代)③高齢者も将来に不安を持ち貯蓄に走りがちである――などと捉え、これらの問題の解消が民主党の「経済政策の基本」であり、「現役世代の人数減少、若年層を中心とした収入の低迷への対応策は一体的に取り組む必要」があるとしている。
収入と結婚についても、「30代前半の結婚割合は『正社員』60%に対し『非正規』は30%にとどまり、『フリーター』と呼ばれる人たちの割合は17%」と指摘し、若い世代の収入の安定など雇用対策を訴えた。やはり収入の安定が結婚の大きな前提となる。また、「日本の人口を一定水準に維持できるようにすることが、長期的には最大の経済政策」「『希望する人が結婚、出産でき、安心して子育てできる社会』の構築」などの方向性に異論はない。
一方、同紙は1面「民主党への提言」に「『子どものために予算を』今こそ強く主張を」と題する駒崎弘樹・認定NPO法人フローレンス代表理事、5面に「男女共同参画担当者会議・研修会を初開催」など、女性と子育てなど少子化・人口減少関連の記事が載る。
ただ、同党の看板政策の「チルドレン・ファースト」や男女共同参画の女性政策のベースは権利問題だ。少子化・人口減少対策としては、経済政策で基調に据えたことにインパクトがある。人口減少問題の視座に立てば、男女が結婚・出産により家族が増えることが重要で、若年対策や一家の経済力に繋(つな)がる政策が必要だ。
政府の骨太の方針が決まれば与野党論議の応酬はあろうが、問題意識は共有しており、人口減少を食い止める国の施策に資する論戦を期待したい。
解説室長 窪田 伸雄