石垣市長選が告示、争点は陸自の配備
保守分裂で3候補混戦
3月11日投開票の沖縄県石垣市長選が4日告示され、新人で元市議の宮良操氏(61)=共産、社民、沖縄社会大衆、自由、民進推薦、3選を目指す現職の中山義隆氏(50)=自民、公明、維新推薦、新人で元県議の砂川利勝氏(54)の3人が立候補を届け出た。
過去3回は保革一騎打ちだったが、保守分裂の三つ巴の戦いとなった。主な争点は、防衛省による陸上自衛隊配備計画への対応、経済振興、子育て支援・教育策だが、主張の大きく異なる陸自問題が最大の対立点となっている。
石垣市は中国が領有権を不当に主張する尖閣諸島を含む。それだけに、防衛省は同島を与那国島、宮古島などと並んで南西諸島防衛政策の重要な拠点と位置付け、同島中部にある平得大俣地区への陸上自衛隊配備を計画している。そのため選挙戦の行方は、政府の南西諸島防衛政策に影響しそうだ。また、秋に予定されている沖縄県知事選にも影響するため、各陣営は名護市長選と同様に総力戦で臨む。
中山氏は、選挙協力を受ける公明への配慮から、自衛隊配備については「国の専権事項」という表現。ただ、2日の討論会で「対中国といった現状を考えると専守防衛の自衛隊配備は必要」と事実上、容認する考えを示した。
3期ぶりの革新市政奪還を狙う宮良氏は翁長雄志知事を支える「オール沖縄」勢力の支援を受ける。告示前から翁長知事や共産党幹部が応援に入っている。「ミサイル基地反対」を公約に掲げる。「自衛隊基地」ではなく「ミサイル基地」と呼び恐怖を煽(あお)る作戦だ。「ミサイル基地は観光や環境、農業とは両立しない」と主張する。
砂川氏は自民党から除名された上での出馬のため、政党などの大きな支持組織を持たない。「市民党」の立場でのどぶ板選挙を余儀なくされる。現市政に反発する保守層や革新支持層をどれだけ切り崩せるかがポイントとなる。自衛隊配備推進の立場だが、平得大俣地区は「住民の理解が得られない」と主張。2日の討論会では「住民投票を実施し、賛成多数となれば合意が得られる場所で配備を進める」と述べた。
前回4年前は、中山氏が15903票で革新系候補に4千票余の差をつけ当選した。石垣市では過去4年間、県知事選、衆・参両院選などの主要選挙で、保守系候補の得票が上回っていた。だが、今回は保守分裂となったため、情勢は不透明だ。
市の選挙人名簿登録者数は3日現在、3万8699人。前回の投票率は75%で、当選ラインは1万1千票程度と予想される。
石垣市長選立候補者(届け出順)
宮良 操 61元市議 無新
民共由社沖
中山義隆 50市長 無現
自公維
砂川利勝 54元県議 無新