「民進」に前原新代表 ワンボイスの訴え試金石

続く「赤旗」民共共闘記事

「民進」に前原新代表/ワンボイスの訴え試金石

民進党の臨時党大会で、気勢を上げる前原誠司新代表(中央)=1日午後、東京都内のホテル

 突如解散風が吹き、臨時国会の初めに衆院解散、来月には総選挙だ。これも、民進党の離党問題と無縁ではないだろう。前原誠司代表を選んで後、不倫疑惑で山尾志桜里元政調会長の幹事長内定取り消しがあり、山尾氏は離党。さらに鈴木義弘、笠浩史、後藤祐一の各衆院議員が離党した。

 民進党の機関紙「民進プレス」(9・15)は、「前原新代表インタビュー」を2面で扱い、1面、3~6面に特集「産業技術と雇用」という体裁だ。前原氏は「わが党が目指す社会像、自民党に代わる選択肢を国民の皆さんに示す」(見出し)と抱負を語るが、早くも政権公約が必要になった。

 離党問題が収まらないためか、前原氏は「一糸乱れずワンボイスで訴えることができる」選択肢を示すと意気込んでいる。しかし、憲法、安保、外交で党内の保革対立は根強い。

 関連して問題になるのは、共産党との共闘だ。離党者らは自身のホームページなどで民共共闘による民進党の左傾化を批判している。東京都議選では共産党の議席増を尻目に惨敗。これは代表選の原因であり争点でもあった。

 代表選の結果は「民進プレス」にも載り、有権者数は一般党員・サポーター22万8753人、地方自治体議員有権者1543人、国政選挙の公認候補予定者128人、国会議員145人で、前原氏502ポイント、枝野幸男氏332ポイントだった。

 保守派で共産党との共闘を見直す考えの前原氏が、共闘に前向きな中道左派の枝野元官房長官に一定の差を付けた。岡田克也代表当時の2015年に踏み切った民共共闘からの脱却が願われたと言えよう。

 しかし、共産党はそうさせまいと、機関紙上で民進党との共闘をアピールしている。「しんぶん赤旗」(9・10)は、1面に「『安倍政権退場を』4野党勢ぞろい」の見出しで、9日の札幌、東京・大田区での共同街頭演説の記事を写真付きで載せた。札幌では「民進党の池田まき道5区総支部代表」、大田区・JR蒲田駅前では「民進党の初鹿明博衆院議員」が登場したと伝えた。

 同紙4面には、「青森で講演会/共産・民進両党が出席」の見出しの記事で「民進党県連の山内崇幹事長(元県議)」が出席し、安倍政権打倒を誓ったと書く。講演をした「草場裕之弁護士(野党共同で安保法制を廃止するオール宮城の会代表)」のことは、文末に記す程度。

 同じ面の「福島/野党共闘1周年で共同宣伝」という見出しの記事では、同共同宣伝で「民進党の増子輝彦参院議員」のメッセージが読み上げられたという。

 同紙(9・12)は、1面に11日の小池晃共産党書記局長の記者会見を報じ、「野党統一候補実現」を「民進党にあらためて求める」考えを示した。共産党は手練手管を労して民共共闘の維持を図っている。

 今度の総選挙は、民進党が二大政党の地位を確保できるか否かの正念場。民進党が反自民非共産の原点に戻るか、共産票の引力に屈し前原執行部も反自民親共産に左カーブを切るか、試金石となろう。

編集委員 窪田 伸雄