民進、民共連携で亀裂
長島昭久氏が4月10日に民進党を離党した。長島氏は民主党政権下で防衛副大臣を務めた経験を持ち、安全保障政策については、党内でまともな考え方をしている人物の1人だった。
民進党は民主党と維新の党が合併して結成された政党だが、安全保障政策については、最初からまとまりを欠いている。憲法観もバラバラだ。「テロ等準備罪」の新設を盛り込んだ組織犯罪処罰法の改正にも民進党は反対しているが、政権を一度は担った経験を持つ政党(旧民主党)として、同法の改正に反対する態度は、政権担当能力がないことをみずから証明したに等しい。国会での審議の様子を見ても、質問の内容があまりにも極端すぎるものばかりだ。
日本共産党は組織犯罪処罰法の改正を「安倍政権による『戦争する国』づくりをさらに進めるためであり、現代版『治安維持法』である」として、国民に恐怖心を煽(あお)っているが、民進党の態度は日本共産党と何ら変わらない態度そのものである。
一方、長島氏は組織犯罪処罰法の改正にも賛成のスタンスだと聞いている。また、民進党は次期衆議院の総選挙でも、日本共産党との選挙協力を推し進めていく予定だが、長島氏は民共連携を離党の理由の一つに挙げている。
保守政治家を自認する長島氏にとって、これ以上、民進党が日本共産党との関係を進化させることに我慢ができなかったのは当然のことだろう。
民進党所属の国会議員は、日本共産党が戦前・戦後に起こした多くの暴力的・破壊的な活動を知らないのか。銀行襲撃事件、警察署占拠事件、皇居前メーデー騒擾事件、トラック部隊事件……などなど。
長島氏の離党の問題に話を戻すが、長島氏の離党によって、民進党の安全保障政策は一段と迷走するに違いない。
先日、細野豪志氏が長島氏の離党に合わせるかのように雑誌「中央公論」に憲法改正私案を発表すると、民進党代表代行を辞任した。
民進党内では、長島氏や細野氏の行動に批判的な意見が多いが、私はそうは思わない。本紙読者の見解は如何に。
(濱口和久)