急速に進む北のSLBM開発

ビル・ガーツ

 北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とミサイル搭載潜水艦の開発が急速に進んでいる。国連の専門家会議の報告から明らかになった。8人の専門家からなる委員会は、「短期間で急速な技術開発が行われ、実用可能な潜水艦発射弾道ミサイルシステムへと大きく近づいている」と指摘した。

 北朝鮮はKN11と呼ばれるSLBMの開発を進めており、液体燃料から固体燃料への転換によって、ミサイルの「安定性が高まり、短期間で発射準備ができ、燃料が保存できる期間も延びた」と報告は指摘している。

 ミサイルはコレ級潜水艦に搭載され、2014年8月に米ニュースサイト「ワシントン・フリー・ビーコン」が初めてその存在を明らかにして以来、東岸の新浦にある施設で試験が繰り返されてきた。

 潜水艦のミサイル発射管に改良が施されており、報告によると「ミサイル発射管1本を備えたこの潜水艦をもとに将来、複数の発射管を備えた潜水艦が開発される可能性がある」という。

 KN11の発射から標的に向かう飛行までの技術は、1960年代に最初に配備された米海軍の第1世代核搭載潜水艦発射ミサイル、ポラリスをまねているという。

 さらに報告は、スチール板、防音コーティング、水中通信装置など、潜水艦発射ミサイルの開発を早める可能性がある軍事転用可能な民生用物資の輸出をしないよう警告している。

 昨年、5回のKN11の試射が行われ、そのうち4回は新浦地域で5カ月以内に行われ、「開発が急速に進んでいる」ことを示している。潜水艦からの排出、上昇、飛行までを成功させ、さらに、昨年4月23日の試射では、固体燃料の使用も確認された。

 ハイテン米戦略軍司令官は4月4日の上院軍事委員会で、北朝鮮がSLBMを含む多種類のミサイル開発を進めていると指摘、「ミサイル戦力を多様化し、核運搬能力の選択肢を増やすことで、ミサイルの残存率を高めている」と証言した。