進まぬインフラ整備
地球だより
インドシナのラストフロンティアとされるミャンマーは、新政権の誕生で期待が高まった経緯があるが、これまでのところ、思惑通りにはいっていない。
ミャンマーの国内生産力は高くないのに、経済成長によって人々の購買意欲は高まっている。その結果、物資の大半を海外に依存している。スーパーでは、野菜や魚といった生鮮食品以外はほとんどが輸入品だ。最大都市ヤンゴンには、海外のブランド品を販売するショッピングモールなど目白押しだが、こうした慢性的な貿易赤字構造に拍車を掛けるばかりだ。
この貿易赤字が通貨下落をもたらし、ミャンマー通貨チャットはドルに対し4年前に比べ4割下落。これが食料品や日用品の価格上昇につながる悪循環をもたらし、所得の低い貧困層の生活を直撃している。
国内産業の育成が急務となる中、ヤンゴン近郊に造られたティワラ工業団地に期待が集まっている。2年前にオープンし同工業団地はほぼ完売済みで、日系企業39社を含む78企業が進出を決めた。まだ工場の多くは建設中で稼働はしていないものの、車のノックダウン(組立工場)やカップめん、ビニールやアルミ缶の製造工場など消費財の工場なども建設中だ。操業が始まれば輸入に頼っていたものが、国内製に置き換わり、貿易赤字の削減につながると期待されている。
ただ国内のインフラ整備となるとまだまだだ。安定した電力や水質基準をクリアした上水道の確保などといった基本的なところで、ハードルは高く国内全域にわたって産業が発展するには、相当の時間と投資が必用だ。
(T)