公明・共産の選挙結果
「第三極」にともに言及/共産に野党再編期の利
日刊で機関紙を出している公明党と共産党は15日に第47回衆院選の選挙結果が確定すると、それぞれ16日付の紙上で「公明35議席の大勝利」「共産党21議席 提案権獲得」などの見出しで報告、主張を展開した。そこで「第三極」に言及した点は共通する。
「前回の衆院選で話題をさらった『第三極』の勢力は、わずか2年で後退した。政権転落後も地道な党活動を怠ってきた民主党と同じく有権者から厳しい審判を下された」(公明新聞・主張)
「日本共産党を封じ込めようとする勢力は、この間さまざまな反共戦略をすすめてきました。この10年余の総選挙を振り返ってみても、2003年以来の『二大政党づくり』の動き、それが破綻したのちの『第三極』論など、偽りの対決の構図に国民をおしこめる策略によって、日本共産党は前進を阻まれてきました」(しんぶん赤旗・総選挙の結果について=同党中央委員会常任幹部会)
「第三極」は前回の衆院選で54議席獲得し躍進した日本維新の会、これと18議席獲得のみんなの党などが連携し民主党の一部をも巻き込んで野党再編を展望したものだ。双方あわせ72議席だが、実際に合流したのは維新の党42議席、今回の当選は41議席。大きくするはずの再編論がかえって分裂を招く縮小再編となり議席も微減した。
「第三極」の捉え方だが、公明党が政敵・ライバルという政界レベルで見るのに対し、共産党は「反共戦略」と政界の枠を越えて捉える。公明党は、通常国会まで安倍首相が「責任野党」と呼んだ日本維新の会、みんなの党など「第三極」への警戒、維新共同代表である橋下徹大阪市長と大阪都構想をめぐる対立など政争的な背景があった。
共産党は、共産主義を展望する綱領路線から、資本主義と対決する観点で自民党と民主党による二大政党制や「第三極」を「(資本主義者の)反共戦略による策略」とする考えが認められる。当の民主、維新にとっては勝手な言い掛かりであろうが、これを今回「不屈にたたかうなかで」「本格的な『自共対決』の時代をきりひらきつつある」(同紙)と、21議席獲得を自賛している。
共産党にとって「自共対決」は、自民党を資本家の党とみての階級闘争であり、勝因に挙げた「あらゆる分野で一致点にもとづく共同――『一点共闘』」も、革新統一戦線の言葉の言い換えだ。反米反財界の「民主連合政府」をつくる民主主義革命から社会主義革命という二段階革命を行う共産党の革命政党の本質を、ソフトな“言い直し”で巧みに隠す手法が、共産主義の宗主国・ソ連の崩壊後に生まれた有権者もいる今日、共産党への警戒感を薄めた面もあろう。
また、「衆議院選挙での躍進は1996年以来18年ぶり」(同紙)と指摘するとおり、政権交代した細川連立政権が挫折した後に野党再編期に入った96年当時の状況は今日と似ている。野党の新党が流動化するなかで組織野党が強みを発揮するパターンだ。
解説室長 窪田 伸雄