中国武警になりすましの男逮捕、中国政府が関与か
米カリフォルニア州警察は、同州アーバインで中国人民武装警察(武警、PAP)の記章を付けた車に乗り、中国警察になりすましていた事例が少なくとも2件、発生したとして捜査している。
カリフォルニア州高速道路警察隊(CHP)のフロレンティーノ・オリビア報道官は、PAPの記章と「特警」という文字を車体に付けた黒いアウディを運転するアジア系の男を9月10日、逮捕したことを明らかにした。他の1件についても現在捜査中という。
アーバインは、住民の42%がアジア系で、その多くが中国系米国人。なりすましの目的は明らかになっていないが、捜査官らは、中国政府との関連性について調べている。
情報専門家らは、反体制派と見なした海外の中国人に圧力をかけ、にらみを利かせるための中国政府による秘密活動と関連があるのではないかとみている。
国防情報局(DIA)の元高官ニコラス・エフティミアデス氏は、「中国共産党が、政府または党の機関を動員して、海外の中国系住民を、中国国籍保有者であろうとなかろうと、脅迫したり、抑圧したりする例は数多くある」と指摘した。
中国の治安・情報機関が過去に、米国内で極秘に情報活動を行った例はある。連邦捜査局(FBI)で「フォックスハント(キツネ狩り)」と呼ばれ、反体制派を標的としたものとされている。
PAPは、中国の準軍事組織であり、治安維持だけでなく、政治的支配のためにも利用されている。
国防大学のリポートでは、PAPは「もう一つの陸軍」とされ、大量の兵員や、戦車、装甲車などの軍事力を保有している。かつては、軍民両方の管理下にあったが、現在は、習近平国家主席による権力固めの一環として中国軍の直接支配下に置かれている。
逮捕を最初に報じたKTLAテレビによると、PAPの記章と「特警」の文字を付けた車の中国系運転手が、非番の警官の車を停止させようとして逮捕された。
オーストラリアのパースとアデレードでも8月に、中国の警察車両に似た車が発見される事例が起きている。アデレードの事例は、車はBMWで、やはりPAPの記章を付けていたという。
ちょうど、香港で抗議デモが起きている時期であり、アデレードでは8月に親中派と香港抗議デモ支持派との間で衝突が起きている。












