米国が中国海軍式典への艦艇派遣拒否
米海軍と国防総省は、今月下旬に行われる中国海軍創設70周年を祝う中国海軍の式典に艦艇を派遣しないことを決めた。米政府当局者が明らかにした。米軍は長年、中国軍との交流を進めてきたが、今回の招待の拒否は、トランプ政権が中国に融和的な従来の方針を転換したことを明確に示している。
中国は米国に艦艇と軍高官の派遣を求めていたが、米国務省は艦艇の参加が中国の国際的威信を高めることに利用されると反対していた。
親中派の米高官らは、両国軍の交流を通じて「信頼を醸成」することを主張してきたが、南シナ海、東シナ海などでの中国軍の侵略的な姿勢を変えることはできなかった。
中国はこのところ、台湾への圧力も強めており、3月31日には、2機の中国軍戦闘機「殲11」が台湾海峡の中間線を越え、台湾側に侵入した。米国が台湾に戦闘機F16の売却を決定、米艦艇が台湾海峡を通航したばかりだった。
米太平洋艦隊の元情報部長ジム・ファネル氏は、「米海軍艦艇が参加すれば、中国海軍の悪行を認め、環太平洋合同演習(リムパック)に中国軍を招待しなかった2018年の決定の効果を損ねることになる」と、派遣拒否を支持した。
米国防総省は昨年5月、世界最大の海軍演習リムパックへの中国の参加を拒否、南シナ海の軍事化をその理由に挙げていた。中国はその1カ月前には、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島に対艦・対空ミサイルを配備していた。
国際評価戦略センター上級研究員のリチャード・フィッシャー氏は「中国共産党は米国とすべての自由社会にとって存続に関わる脅威になろうとしており、米国は70周年を祝う姿勢を示すべきではない」と主張した。
また、ランドール・シュライバー国防次官補(インド太平洋安全保障問題担当)は3月27日、下院軍事委員会での公聴会で、「中国は依然、南シナ海の軍事化を進めている」と指摘、対艦・対空ミサイルの配備が「善意を示していないことは明らかだ」と中国を非難した。
インド太平洋艦隊のデービッドソン司令官も、同じ公聴会で「中国は自分たちの主導で『中国的性格』を持つ新たな国際秩序を築こうとしている。70年間続いてきたインド太平洋の安定と平和が失われる」と危機感をあらわにした。
中国は3月28日、海軍創設70周年に当たる4月23日に山東省青島で国際観艦式を開催すると発表。日本、韓国が艦艇を派遣すると報じられ、フランスは旗艦シャルル・ド・ゴール、ロシアも空母「アドミラル・クズネツォフ」を派遣するとみられている。
中国軍報道官によると、60カ国が参加予定、2隻の空母と新型の原子力ミサイル潜水艦が参加するとみられている。






