トランプ氏、共産主義の犠牲者を追悼

ビル・ガーツ

 トランプ米大統領は、「共産主義犠牲者の国民的記念日」の7日、声明を発表。共産主義体制下での弾圧、抑圧で死亡した「1億人」に哀悼の意を表明するとともに「すべての人々の自由と機会の促進」を訴えた。

 トランプ氏は声明で「独裁的共産主義政権によって殺害され、弾圧された1億人以上の人々をしのび、世界中の平和、繁栄、自由のために戦う人々を強く支持する」と自由民主主義の促進への決意を改めて表明した。

 1917年のロシア革命について「独裁的共産主義思想による苦しみ、弾圧、死を目の当たりにしてきた」と指摘、「幸福を求める人としての権利を否定し、その結果、信教の自由、私有財産、言論の自由、あまりに多くの生命が失われてきた」と共産主義を強く非難した。

 「共産主義黒書」(1999年出版)によると、中国では共産主義体制下、処刑、強制労働などで6500万人が死亡したとみられている。中国は1980年代に、資本主義の導入を開始したが、政治制度は依然、抑圧的な独裁体制が続いている。

 黒書によると、ロシア、中国、キューバなどの共産主義政権下の弾圧で、世界で9400万人が死亡した。

 共産政権下で発生した大量殺戮としては、ソ連時代にウクライナで発生した飢饉(ききん)「ホロドモール」が知られ、1200万人が死亡した。36年から38年のスターリンの恐怖政治では、政敵とともに70万人の土地所有農民が「富農」として殺害された。

 トランプ氏は声明で、共産主義の犠牲者は「共産主義は永遠に、人間の精神と人類の繁栄を破壊するという紛れもない事実の物言わぬ証言者だ」と指摘した。

 だが、米国内で共産主義の脅威はあまり認識されていない。

 ギャラップ社は8月、10年以上にわたる調査で初めて、民主党員の社会主義への支持が資本主義を上回ったと発表した。2000年以降に社会人になった「ミレニアル世代」の間で、社会主義への支持が強まっているという調査結果もある。

 共産主義犠牲者メモリアル財団は先月公表した報告で、米国人への共産主義、社会主義に関する教育が必要だと主張、「マルクス主義政権は、政治、経済、人道的惨事を引き起こしてきた。その一部は今も続いている」と警鐘を鳴らした。

 2016年米大統領選の候補指名争いでは、社会主義者を自称するバーニー・サンダース氏が健闘、中間選挙でも自称・民主社会主義者のアレクサンドリア・オカシオコルテス氏が下院選で勝利した。