タブー破る米軍高官訪台 「深刻な中国の脅威を反映」
米トランプ政権は、軍高官を台湾に初めて派遣、駆逐艦の台湾海峡通過など、中国への軍事的圧力を強化している。
米当局は、インド太平洋軍のスチュードマン情報部長(少将)が22日、台湾軍当局との情報共有のため台湾を訪問したことを明らかにした。
その前日には、米海軍のミサイル駆逐艦「バリー」が、台湾海峡を航行。米第7艦隊は「自由で開かれたインド太平洋への米国の関与を示すためのもの」と発表した。
中国は数カ月前から、台湾付近での海軍、空軍の活動を活発化させている。9月には、大規模な軍事演習を実施、台湾侵攻への前触れではないかとの見方も出ている。
米政府は、台湾防衛のために、戦闘機やミサイル、50億㌦以上の武器売却で合意したばかりだ。
中国外務省の趙立堅副報道局長は、スチュードマン氏訪台に抗議した上で、「事態によっては正当で必要な対応を取る」と警告したが、その内容は明らかにしていない。
米太平洋艦隊で情報部門トップを務めたファネル元大佐は、スチュードマン氏の訪台は、軍高官の訪台を制限してきたこれまでの米政権の方針を転換させるものであり、「中国共産党の台湾への脅威が深刻であることを反映したもの」と指摘。戦略的には、中国が軍を近代化し、台湾に対する活動を活発化させているため、海峡の現状を維持することの重要性を確認するためのものと見方を示した。
国際評価戦略センター上級研究員リック・フィッシャー氏は、台湾との戦略的対話を強化したことで、「台湾への脅威が高まれば、米台関係はさらに強まるだけとのメッセージを中国共産党指導部に送ることになる」とその意義を強調した。
中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は、スチュードマン氏の訪台を非難。「中国の空軍、海軍は台湾周辺での飛行、航行を常態化させている」と、軍の活動が活発化していることを認めた上で、「(中国の軍事演習は)もはや、単なる警告ではなく、戦闘の準備だ。すべては抑止力になっている。米国も台湾も甘く見てはいけない」と警告した。