極左組織アンティファ 目標は「米国の破壊」


ビル・ガーツ

ビル・ガーツ氏

コミンテルン指示に由来

 警察に拘束された黒人男性ジョージ・フロイドさんの死亡を受けて全米に暴力や略奪が拡大したことで、捜査当局は極左組織アンティファの関与を疑っている。過激派組織に詳しい警察当局者によると、アンティファは米大統領選の選挙戦が本格化する昨年11月にはすでに、全米での反政府活動の計画を立て始めていた。
 この警察当局者は、計画について詳細は話さなかったものの、長期的な分析からそのような行動は予測できると述べた。

 元国家安全保障会議(NSC)戦略計画局長のリッチ・ヒギンズ氏は「アンティファはマルクス主義思想を持ち、短期的には選挙に影響を及ぼすことを目指し、選挙の政治的正当性を破壊することをもくろんでいる」と述べた。

 元国防情報局(DIA)高官のジョー・マイヤーズ氏も「トランプ大統領の選出と米国の復活は、アンティファが目指す無政府主義にとって障害となる。暴力によって混乱と絶望を招くことで、トランプ氏の再選阻止を狙っている」と指摘。暴動、略奪が左派の政治目的に基づいたものとの見方を強調した。

 アンティファは「反ファシズム」を掲げるものの、組織の実態ははっきりしておらず、黒い服を着て顔を覆い、破壊活動を行うことで知られている。今回の抗議行動でも、デモに紛れ込み、参加者らを過激な行動へと誘導している。

 トランプ氏は、アンティファを「テロ組織」に指定することを表明し、軍を動員して取り締まることを訴えている。マイヤーズ氏もアンティファについて「政治目的のために組織的暴力を実行している。つまり、憲法秩序の破壊だ」と指摘し、テロ組織、反政府組織とする基準を満たしているとの見方を明らかにした。

 アンティファに特徴的なのは、政治目標を達成するために暴力を行使することであり、アンティファ内、支援者の間でこれは「直接行動」と呼ばれているという。

 当初、アンティファの活動は、オレゴン州ポートランドやカリフォルニア州バークレーなどの西海岸に集中していた。治安当局者によると、計画的な全米レベルの暴動をアンティファが先導するのは初めて。

 連邦捜査局(FBI)のテロ対策専門家は、アンティファなどの過激組織を長年監視しており、組織的実体を隠すために、「黒人の命も大切」「人種差別粉砕」「ICE(移民税関捜査局)廃止」などの名前を使い始めているという。

 アンティファの呼び名は、モスクワの「コミンテルン(国際共産党)」が1933年に、ソ連主導の「米国共産党(CPUSA)」に「全米反戦反ファシズム連盟」を発足させるよう指示したことから来ている。32年に発足したドイツの「反ファシスト・アクション」をまねたものだ。

 CPUSAの指導者マニング・ジョンソン氏は53年に連邦議会で、フロント組織アンティファが目指しているのは「ファシズムをなくすことではなく、『米国の転覆と破壊』だ」と述べている。

 ヒギンズ氏は、アンティファを政治的戦争のための左派と共産主義者らの手先とみている。アンティファの思想の核心にはマルクス・レーニン主義があるとし、「アンティファは今回の暴動の指揮管制機関として機能しており、資本主義を象徴する商店、歴史を象徴する記念碑、神を象徴する教会に対し、公然と暴力を行使している」と主張した。