新型コロナウイルス、武漢研究所流出が最有力
米政府が、新型コロナウイルスの発生源は中国・武漢の研究所の「可能性が最も高い」と分析していることが、ワシントン・タイムズが入手した報告書から明らかになった。
新型コロナ米政府分析 中国当局の隠蔽指摘
報告書は、公開された情報をまとめたもので、武漢にある武漢ウイルス研究所(WIV)または、中国疾病管理予防センター武漢支部が発生源であることを示す決定的証拠はないとしながらも、「その可能性を示唆する状況証拠」から、これらの研究所から流出した「可能性が最も高い」としている。
中国当局は、発生源は分かっていないとしているが、当初は武漢の海鮮市場で売られていた動物から感染したとの見方を示していた。
しかし、米政府内ではこのところ、市場からの発生説に否定的な見方が高まっている。トランプ大統領が、発生源の調査を進めていることを明らかにしたばかり。
報告書では、最初の感染者が海鮮市場との接点がないとして、自然発生したコウモリウイルスが市場の動物を介して人にうつったとの中国の主張を否定している。
その上で、「ウイルスの発生源として調査すべき場所は、中国共産党によって完全に封鎖されている」と、中国当局が研究所の調査を拒否していることを強調、「1月1日に両研究所に緘口(かんこう)令が出され、著名な微生物学者である中国軍少将が1月中旬以降、(WIVを)事実上、監督している」と軍の関与を指摘した。
両研究所は、新型コロナを含むコウモリウイルスの広範囲な研究を行っている。報告書が最も重要視しているのは、WIVのコウモリウイルス研究のリーダー、石正麗研究員。同研究所の研究員、武小華氏は石氏の研究をネットに公開し、新型コロナは、石氏が管理するデータベースにある50のウイルスの一つと主張している。
武氏はネットへの投稿で、石氏が研究所の動物を使って人に感染するウイルスの実験を行い、その動物の一つが新型コロナの発生源だと主張。感染した研究所の動物がペットとして売られたり、動物の死体が適切に処理されなかったり、研究所の従業員が、研究に使われた卵をゆでて食べていたと訴えている。
報告書は「武氏によるWIVのずさんな管理の指摘は、具体的であり、WIVからは説得力のある反論が行われていない」と指摘した。
また報告書は、最初の感染者とされている黄燕玲研究員が、行方不明であることにも触れ、「黄氏はWIVで働いていたが、黄氏の略歴、写真だけがサイトから削除されており、何らかの不正があったのではないかという疑惑を呼んでいる」と、中国当局の隠蔽(いんぺい)工作の可能性を強調した。
一方で、WIVの袁志明主任は流出説を強く否定。WIVの設立に関与しているフランス政府も今月に入って、「米国で新型コロナと武漢ウイルス研究所とのつながりを主張する報道がなされているが、これまでそれを示す証拠は見つかっていない」と述べ、WIVからの流出説を否定した。フランス政府は、国際基準で危険度が最も高い病原体を扱える「バイオセーフティーレベル(BSL)4」を満たすWIVの設立への協力で2004年に合意を交わしている。






