社説
憲法制定70年、議論深め自らの手で改正を
今年は戦後70年の節目の次の年だが、昨年に劣らぬ重要な年だ。戦後のわが国のかたちを決定した憲法が制定されて70年目を迎える中、今夏の参院選の結果次第では、現行憲法の下で初めて憲法改正を発議できる政治環境が生まれるからだ…
防衛法制、国際常識に沿ったものにせよ
昨年は集団的自衛権行使の限定容認を含む防衛法制の制定問題で明け暮れたが、「次は経済の番」ということで、防衛問題は忘れられた感がある。 限定容認によって日米安保条約への信頼性は持ち直すが、これで混迷している現在の国際社…
平和貢献へ脱皮は欠かせぬ
憲法改正で国のビジョン遂行を 来年のことを言えば鬼が笑う、という。だが、年明けて今年のことをあえて予測すれば鬼だって笑うどころか顔を引きつらせてしまうような厳しい世界の情勢ではないか。 IS、中国の動向がカギ イス…
15年の日本、未来への展望を開いた1年
いま東映系で公開中の日土合作映画「海難1890」は二つの史実に基づいた日本とトルコの名もなき人々の素朴な善意を描いている。 安保関連法が9月に成立 昭和60(1985)年3月、イラン・イラク戦争下のテヘラン空港に欧…
15年の世界、遅きに失した米自由航行作戦
オバマ米政権の安全保障戦略の特徴は「アジア・ピボット(回帰)」あるいは「アジア・リバランス(再均衡)」と呼ばれるアジア太平洋地域重視の方向性を明確に打ち出したことである。とりわけ、中国の急速な軍備増強と海洋進出による脅…
「慰安婦」合意、日韓未来志向の出発点に
岸田文雄外相は安倍晋三首相の指示を受け訪韓し、尹炳世韓国外相との会談でいわゆる従軍慰安婦問題をめぐり最終合意に至った。特にここ数年、日韓の最大懸案となってきた同問題が決着したことで、両国が未来志向の関係構築に向け歩み出…
辺野古移設、知事は国との対立煽るな
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に関し、沖縄県は国土交通相が翁長雄志知事による埋め立て承認取り消しの効力を一時停止したのは違法として、効力回復を求めた訴えを那覇地裁に起こした。翁長知事は辺野古移…
高浜原発、認めた新規制基準の合理性
関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働差し止めを命じた仮処分について、福井地裁(林潤裁判長)は関電の異議を認め、取り消す決定をした。 これにより、関電は同3号機の原子炉に核燃料の搬入を始めており、来年1月…
16年度予算案、増税に耐え得る経済に十分か
政府は一般会計の総額を96兆7218億円とする2016年度予算案を決定した。当初予算としては4年連続で過去最大の規模である。 安倍政権が重視する「1億総活躍社会」の実現に向けたものであるとともに、17年4月に予定され…
新国立競技場、「日本らしさ」世界に発信を
2020年東京五輪のメーンスタジアムとなる新国立競技場のデザイン・建設計画が決まった。大会のシンボルとなり日本スポーツの新しい聖地となる。これを機に、旧計画やエンブレムの白紙撤回でミソが付いた五輪への機運をもう一度高め…
民主党は社会党の轍を踏むな
来年の参院選をにらみ安倍晋三首相と会談した橋下徹前大阪市長が憲法改正を求める一方、民主党など野党は憲法9条改正阻止を掲げ、改憲の是非を争点とする構えだ。 民主党は「創憲」を展望していたが、これでは戦後長らく「護憲平和…
トンネル崩落、老朽化対策に教訓生かせ
山梨県の中央自動車道笹子トンネルで2012年12月、天井板が崩落し9人が死亡した事故で、犠牲者5人の遺族がトンネルを管理する中日本高速道路(名古屋市)などに損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁は計約4億4300万円の支払い…
長周期地震動、高層ビルでの対策が急務だ
静岡沖から九州東方沖にかけての南海トラフで巨大地震が起きた場合、超高層ビルの上層階が揺れ幅の大きい「長周期地震動」でどれくらい揺れるかについて内閣府の検討会が報告書を公表した。 倒壊の危険性は低いが、転倒による負傷や…
治安のカギ握る「家族再生」
今年の世相を表す漢字に「安」が選ばれたが、私たちの暮らしの安全・安心はどうだったか。2015年版犯罪白書によると、刑法犯の認知件数は02年をピークに減り、14年は02年の半分以下だった。一方で再犯者の割合が過去最高、高…
安倍外交、世界平和へ一層の貢献を
安倍晋三首相は今年、各国首脳との会談のみならず国際会議での発言を通して積極的平和主義に基づく外交を展開した。来年も世界平和への一層の貢献が求められる。 米議会で歴史的演説 特筆すべきは4月、米上下両院合同会議で日本の…
産経記者無罪、不毛な争いはもう止めよ
韓国の朴槿恵大統領の名誉を傷つけたとして産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(49)が訴えられた裁判の一審判決で、ソウル中央地裁は懲役1年6月の求刑に対し無罪を言い渡した。韓国司法の判断が日韓関係好転につながるかが今後の焦…
夫婦同姓合憲、制度の意義認識する契機に
「男女平等」や「個人の尊重」をことさら強調する一方で、子の幸せよりも大人の事情を優先する風潮が広まる中、家族制度の意義を改めて考えさせる初めての憲法判断だった。民法の夫婦同姓規定をめぐる訴訟で、最高裁が夫婦とその子供が…
消費減少抑制へ軽減税率の導入は不可欠
自民、公明両党は2017年4月に実施予定の消費税率10%への増税と同時に導入する軽減税率で、対象を「酒類、外食を除く飲食料品」とし、税率を8%に据え置くなどとする16年度税制改正大綱を決定した。 景気の実勢からすれば…
日印首脳会談、地域の平和と発展につなげよ
インドを訪れた安倍晋三首相は、モディ首相と首脳会談を行い、経済や安全保障での協力推進をうたった共同声明を発表した。南シナ海などで海洋進出を強めている中国を念頭に、日印に米国を加えた3カ国の安保分野での連携強化も確認した…
全世界で温暖化防止に努めよ
地球温暖化抑制への重要な一歩が踏み出された。パリ郊外で開かれていた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で2020年以降の温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」が採択された。「京都議定書」に代わる18…
民主・維新、与党に現実的な対案示せるのか
民主党と維新の党は来年の通常国会での統一会派結成で正式に合意した。しかし両党が一致した基本政策を見る限り、与党に現実的な対案を示せるか疑問が残る。 「違憲部分を白紙化」 両党の勢力を合わせると衆院92人、参院64人と…
探査機あかつき 金星の謎解明へ再挑戦だ
金星探査機「あかつき」が金星を回る軌道に投入された。2010年12月の失敗以来、5年越しの再挑戦での成功である。地球以外の惑星で、日本の探査機を周回軌道へ投入することに成功したのは初めて。 待ちに待った金星の謎解明は…
米テロ対策、国民の過激思想感化を防げ
オバマ米大統領は国民向けのテレビ演説で、米カリフォルニア州での銃乱射事件を「テロ行為」と断定するとともに「テロの脅威が新段階に入った」と述べた。 さらに、インターネットを通じて海外の若者たちをテロに駆り立てる過激派組…