社説
安保法制論議、「戦争法案」でなく抑止法案
終戦記念日を前に国会周辺などで安全保障関連法案を「戦争法案」と称して反対するデモや集会がマスコミに取り上げられている。が、戦後の安保法制は激変する国際情勢の中で必要に応じて政策転換して整備されてきた。法案の目的は戦争を…
川内再稼働、新規制基準での意義大きい
九州電力の川内原子力発電所1号機(鹿児島県)が再稼働した。国内の原発が一基も稼働しない状況が約2年間続いていたが、ようやく脱することができた。2013年に導入された新規制基準の下での初の再稼働であり、その意義は大きい。…
日航機事故30年、再発防止に安全文化構築を
乗客乗員520人が亡くなった1985年の日航機墜落事故から、あすで30年を迎える。32分間の迷走飛行、墜落・炎上、困難を極めた救出活動など、事故の記憶は今も生々しい。 慰霊の登山欠かさず 日航は戦後日本の航空業界を牽…
日朝外相会談、金第1書記に「拉致」談判せよ
岸田文雄外相は、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の外相会議で訪問したマレーシアの首都クアラルンプールで北朝鮮の李洙墉墉外相と会談した。日本人拉致問題の解決に向けた交渉が行き詰まる中、よりハイレベルで話し合うことは重…
ソ連侵攻70年、一日も早い北方領土返還を
70年前の1945年8月9日、ソ連は当時有効だった日ソ中立条約を破って日本に侵攻した。ソ連の攻撃は日本のポツダム宣言受諾後も止まらず、ソ連代表も出席し日本の降伏文書が調印された9月2日を過ぎても続けられた。このようにし…
辺野古工事中断、円満な移設のため生かせ
政府は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設工事を10日から1カ月間中断することを決定した。辺野古移設に反対する翁長雄志知事との全面対決を避けるためだ。円満な移設のための苦渋の決断として理解できる…
高齢者は熱中症に特に注意と予防策を
日本列島の広い範囲で厳しい暑さが続いており、東京では1週間連続の猛暑日となった。こうした中、熱中症で病院に搬送されたり死亡したりする人が後を絶たない。 救急搬送が過去最多 熱中症は、重症になれば命に関わる。健常者で…
原爆の日、核の「功罪」を冷静に考えたい
広島には1945年8月6日、長崎には9日に原爆が投下された。あれから70年。犠牲者に深く静かに鎮魂の祈りを捧(ささ)げたい。それと同時に、人類に限りない惨禍をもたらす残虐な兵器であるとともに、比類なき「戦争抑止力」でも…
感染症研究施設、期待される速やかな対応
エボラウイルスなど最も危険度が高い病原体を扱える国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)の「BSL4」施設について、同市の藤野勝市長は塩崎恭久厚生労働相に稼働を容認する考えを伝えた。 最も危険な病原体扱う 有効な…
参院選「合区」、「抜本的な見直し」とは程遠い
参院選の「1票の格差」を是正するための改正公職選挙法が成立した。来夏の参院選は同改正法に基づき実施される。しかし、時間をかけた割には抜本的な改革とは程遠く、一時しのぎにすぎない。参院各会派はさらなる改革案をまとめる作業…
安保法制、守旧主義は国家の危機招く
礒崎陽輔首相補佐官が、安全保障法制整備に関して「法的安定性は関係ない」と発言したことに野党側が反発し、安倍晋三首相も「法的安定性は重要」と述べて失言と認めた。 そこでは「あらゆる政策より法の安定性が優先する」との大前…
北京冬季五輪、懸念される人権・環境問題
国際オリンピック委員会(IOC)は、2022年冬季五輪開催地に北京を選んだ。北京は08年に夏季大会を開いており、史上初めて夏冬両五輪を開催することになった。 人工雪で水不足の心配も 招致合戦はアルマトイ(カザフスタン…
厚木騒音訴訟、自衛隊の活動に支障来すな
米軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(神奈川県大和、綾瀬両市)の周辺住民が、国に航空機の夜間・早朝の飛行差し止めや損害賠償などを求めた第4次騒音訴訟の控訴審で、東京高裁の斎藤隆裁判長は午後10時~午前6時の自衛隊機の…
北の「核保有国」化は容認できぬ
イラン核協議の合意を受け、北朝鮮の核開発問題が世界の耳目を再び集め始めた。しかし、北朝鮮政府の高官らは相次いで核放棄を拒否する発言をしている。そこには核保有国の地位を世界に認めさせようという思惑がにじんでおり、国際社会…
小型機墜落、徹底究明で再発防止に当たれ
東京都調布市の民家に小型プロペラ機が墜落し住民1人を含む3人が死亡した事故で、警視庁調布署捜査本部は業務上過失致死傷容疑で、小型機を整備・管理する「日本エアロテック」(調布市)など関係先を家宅捜索した。 重量が飛行ギリ…
比基地再開、期待される対中牽制効果
フィリピン政府は、かつて米軍基地があった北部ルソン島のスービック湾の軍事拠点化を表明し、戦闘機や艦船を配備する方針を固めた。 スービック湾はルソン島の西側にあり、中国と領有権をめぐって争っている南シナ海に面している。…
ギリシャ危機、地政学的重要性踏まえ支援を
ギリシャの財政危機をめぐっては、同国の財政改革案の法制化を条件に欧州連合(EU)が金融支援を表明したことで、財政破綻やユーロ圏からの離脱という最悪の事態は回避された。しかし、ギリシャの経済が立ち直り安定するまでの道のり…
違法教員への罰則規定設けよ
公職選挙法が改正され、来夏の参院選から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられる。これに伴い高校生も投票できるようになり、「主権者教育」が課題となっている。文部科学省は模擬投票など実践的内容の副教材を配布する予定だが、教育…
油井さん宇宙へ、日本独自の有人飛行目指せ
ロシアのソユーズ宇宙船の打ち上げが成功し、45歳にして初の宇宙飛行、しかも約5カ月という長期滞在となる油井亀美也さんの「挑戦」が始まった。 日本の無人補給機「こうのとり」のキャプチャー(把持)や日本実験棟「きぼう」で…
防衛白書、中国の脅威詳しく伝えよ
平成27年版防衛白書が閣議で了承された。 中国による南シナ海での岩礁埋め立てなどを「高圧的とも言える対応を継続させ、一方的な主張を妥協なく実現しようとする姿勢」と批判した。 ガス田は「一方的開発」 防衛省の当初の白…
マレー機撃墜1年、国際社会は徹底解明せよ
ウクライナ東部ドネツク州上空でマレーシア航空機MH17便が撃墜され、乗客乗員298人全員が死亡した事件から満1年(7月17日)を前に、マレーシア主導でオランダ、オーストラリア、ベルギー、ウクライナの関係5カ国が共同で犯…
参院安保審議、野党は対案示し内容深めよ
衆院を通過した安全保障関連法案を参院で審議する特別委員会の設置があすの本会議で決定し、27日にも審議入りする見通しとなった。「採決不能の状態に追い込む」という戦略を描く共産党が院外の反対運動を強める中、民主党、維新の党…
辺野古移設、疑問残る沖縄第三者委の報告
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画をめぐって、沖縄県の翁長雄志知事が設置した第三者委員会が、仲井真弘多前知事が行った移設先の同県名護市辺野古沖の埋め立て承認について疑義を呈した。承認は法律が求める要件を満たし…