山田 寛
ウクライナ侵攻で思う 中露民兵の不気味な役割
山田寛の国際レーダー 世界がまだ大猛獣暴れるジャングルであることを思い知らされたプーチン・ロシアのウクライナ侵略。その侵略の中で見落とせないのは、下ごしらえをしてきた民兵集団=民間軍事会社(PMC)の不気味な役割だろう…
リトアニアと「16+1」 中国を悩ますカナリアたち
山田寛の国際レーダー 今年はミャンマーやアフガンの歴史時計の針が20~30年も逆戻りし、民主主義の後退が言われ、何より中国とロシアの不自由化が加速している。専制主義と中国の影響力が一段と拡大した年となりそうだ。 中国…
五輪成功でも心配、難局での日本の気力
山田寛の国際レーダー 「日本以外はできなかっただろう」(パーソンズ国際パラリンピック委会長)の言葉と共に、東京五輪・パラの夏は成功裡(り)に過ぎたが、印象に残った開会直前の米紙報道と国際世論調査を取り上げたい。ロサンゼ…
ガニ流脱国は最悪、世界の権力者の亡命事情
山田寛の国際レーダー アフガニスタンでは、脱出を望む群衆があふれるカブール空港の入り口で大自爆テロが起きるなど、大混乱が続く。自分だけ先に脱出、亡命したガニ大統領の行動は最悪だとの思いが募る。 ガニ氏はタリバンが首都に…
カブールとサイゴン 元協力者救出が重大な勝負だ
アフガニスタンが反政府勢力タリバンに征服された。今年4月、バイデン米大統領が撤退予定を発表するとすぐ、元米軍通訳らが「帰らないで。ベトナム戦争の二の舞い(敵側勝利と大混乱)になる」と訴えたが、訴え通りになってしまった。…
中露との攻防、もう一つの最前線ボスニア
中欧のバルカン半島西部のボスニア・ヘルツェゴビナ(以下ボスニア)が、中露権威主義vs民主主義対決のもう一つの最前線になりつつある。酷い内戦の後、なんとかその再発を抑えてきたこの国が、新たな民族紛争の危機に近づいている。…
国旗への異なる関心、日本の子供の方が幸せだ
「セントビンセント・グレナディーンの国旗について質問します」。国旗専門家で東京五輪組織委員会国際局アドバイザーを務める吹浦忠正さんは、4年前から東京・江東区の小中学校で出前授業を開いてきたが、こんな質問を受けて舌をまい…
東京五輪で期待したい、難民希望と難民選手団の活躍
東京五輪・パラリンピックが近づき、二つの点で「難民」が気になっている。 一点目は、この五輪で難民(亡命)希望者が出るか出ないか、どれだけ出るかだ。 第2次大戦後、1956年のメルボルン五輪で、ソ連軍に蜂起を鎮圧され…
15字の虐殺資料公開、韓国政府はより誠実な対応を
韓国のハンギョレ新聞によると、3月中旬、韓国大法院(最高裁)が「ベトナム戦争中の韓国軍の民間人虐殺」事件に関し、国家情報院保有の事件関連情報を公開すべしと判決した。4月上旬、国情院は初めて関連記録を公開したが、たった1…
コロナ禍の世界で増える 子供の誘拐・売買・行方不明
山田寛の国際レーダー 世界各地で近年、子供の拉致・誘拐・人身売買・行方不明が増えてきた。コロナ禍の中、一層増加しているようである。 その摘発や被害者救出が難しいことは、先月初め中国公安部が発表した数字でも示されている…
米・外国軍アフガン撤退、心配な四つの運命
米・外国軍のアフガニスタン戦争からの撤収作業が加速している。 だが残される現地は大変だ。20年前の開戦直後に政権を追われたタリバンは今や最も強くなったといい、IS(イスラム国)勢力も浸透し、テロ連発で脅しのシグナルを…
成功しているか、中国のワクチン外交
山田寛の国際レーダー 昨年11月に中国のワクチン外交が始まってから半年、それは一応の戦略的効果を発揮している様だ。だが成功と呼ぶのはまだ早い。 3月下旬、王・中国外相は「中国はワクチンを80カ国に援助し、47カ国に輸…
日本が今また問われる、アジア難民受け入れの覚悟
日米首脳会談の共同声明が台湾海峡に言及、米インド太平洋軍司令官は、今後6年以内に中国軍の台湾侵攻が起こり得ると予測した。もし侵攻が起きたら、日本はどう米軍後方支援をするかに加え、最前線で備えるべき重要課題もある。台湾か…
北京五輪ボイコットと日本、08年の喝采繰り返すな
16日の日米首脳会談。北京冬季五輪ボイコット問題では何か話し合われるだろうか。バイデン政権は同盟国や友好国とこの問題を協議する意向を示し、中国側はハリネズミの様に針を立てて、その動きを警戒している。今後ギリギリの五輪外…
女性議員比率166位では 日本は民主の旗を振り難い
山田寛の国際レーダー 「うれしいことに、世界の女性国会議員の比率が25・5%と、初めて4分の1を超えた」。今月初め、「列国議会同盟」(IPU=各国議会の国際組織)の事務局長が発表した。今年1月現在の各国の1院または下院…
カメラが何回震えても、国連安保理は決議せず
ミャンマーでは軍クーデターへの抗議デモが続き、死傷者、拘束者が増える一方だ。治安部隊は銃撃の乾いた音を響かせ、負傷者救助中の若者を棒で殴り続ける。そんなニュースを見て、1988年のこの国(当時はビルマ)の民主化運動デモ…
アフリカの軍事・政治情勢 激しさを増す中露の挑戦
日米豪印の「自由で開かれたインド太平洋」構想にも、中国の「一帯一路」にも、西のアフリカ大陸は重要な意味を持つ。だがそこでは今、欧米の存在と影響力が中露側から厳しい挑戦を受けている。 目につくのはロシアの動きだ。特に中…
カメラも返してもらえない、日本が影響力を持てるか ミャンマー
ミャンマーのクーデターは、国軍が「この国は軍が柱」という、1962年のネウイン将軍のクーデター以来の強い信念で断行したのだろう。一方、民衆は熱い思いで、全土で10万人以上もの抗議デモを続ける。「強い信念」側は中国の「内…
「自由で」戦略に不都合な 東南アジアの反自由・強権化
ミャンマーの劇的な政変は、この国の民主化時計を午前零時に戻してしまうのか。膨張中国と日米豪印の「自由で開かれたインド太平洋」戦略の間で、東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々がどちら寄りになるかは、大きなカギとなる。だ…
世界に広がる 中国の都市監視システム
中国・新疆ウイグル自治区や香港にあふれる監視カメラ。そんなAI都市監視システムが、中国からどんどん輸出されている。強権政治拡大につながるとの懸念も増している。 英調査会社コンパリテックの昨年夏の報告では、世界の150…
中国ワクチン外交、途上国でホームランとなるか
2021年。新型コロナという“鬼”に対し、ワクチンが強力な“鬼滅の刃”になり得るか。私たちの関心の的は米欧のワクチンだが、忘れてならないのがまた中国。世界各地で中国製ワクチンによる「ワクチン外交」を展開しているからだ。…
2020年の世界 理解し難い変なこと
今年、世界で起きた変なことを六つ選び、主観的にコメントしたい。 (1)「米大統領選の大混乱・弟子も泣きたくなる」 トランプ候補に投票した者の73%が「不正選挙でなければ勝っていた」と信じているとか。選挙後そんな大きな…
安保理は機能不全で、生物・化学安全保障は闇の中
2020年、新型コロナ大感染とも関連し、生物・化学兵器の問題、生物・化学安全保障の行き詰まりが、改めて浮き彫りになった。 10月、「オープンソサエティー正義のイニシアチブ」(OSJI)など、シリア内戦を追ってきたNG…