2020年の世界 理解し難い変なこと
今年、世界で起きた変なことを六つ選び、主観的にコメントしたい。
(1)「米大統領選の大混乱・弟子も泣きたくなる」
トランプ候補に投票した者の73%が「不正選挙でなければ勝っていた」と信じているとか。選挙後そんな大きな不信と争いが続くなんて「民主主義の反面教師」だ。
トランプ側が文句を付けたのは、郵便投票の不正、受付期限不法延長、選挙立会人や開票所でのインチキなどなど。米国ともあろうものがなぜそんな選挙管理のイロハで、文句の余地がないよう、きちんとできないのか。
日本は米国を民主主義の師と思ってきたから、“ドタバタ劇”を見ると悲しい。中国やベラルーシは大喜びだろう。
(2)「武漢・情報隠蔽(いんぺい)からショーウインドーへ」
コロナ感染出発地で、最初に警鐘を鳴らした李文亮医師も、告発報道をしたジャーナリストも、都市封鎖状況をブログ発信した作家、方方氏も迫害された。市民ジャーナリストの張展さんはウソ拡散容疑で先月起訴された。
だが、中国当局は夏以降「習近平政権の適切指導で全く安全になった」武漢のPRに努め、外国報道陣用ツアーまで組織した。武漢はショーウインドーに“出世”した。
(3)「国連人権理事会・中露、キューバがそろい踏み」
この3国などが新規に理事国に選ばれ、人権団体から「また放火犯が消防士か」とのため息が出た。
新規も含めた47理事国は、米NGO「フリーダムハウス」の分類では、「自由な国」19、「部分的に自由な国」16、「自由のない国」12。「ない国」が理事国となるのも重要だ。だが06年の理事会発足後、中国、キューバは12年、ロシアは9年も理事をしてきた。自国への人権批判を封じ、別の人権規範を広げるために。中国にはそれがますます重要になっている様だ。
(4)「韓国・防護服五輪→2匹目五輪」
11月、韓国の朴智元・国家情報院長が突如来日した。韓国報道では、「東京五輪に北朝鮮の金正恩委員長を招き、南北と日米で首脳会談を開こう」との文大統領提案を携えてきたという。
韓国は以前「東京五輪は放射能防護服が必要」とケチをつけていたはずだが豹変した。「平昌冬季五輪に正恩氏の妹を招き大成功だった。2匹目のドジョウをぜひ」との思惑かららしい。最近アーミテージ元米国務副長官らが発表した政策提言も、「東京五輪への協力は日韓関係新出発の好機」と書いていたが、文提案は「用日」の下心が見えすぎる。
(5)「タイ国王・1万㌔のソーシャルディスタンス」
7月から続くタイの学生らのデモは国王批判が一大要素。アンタッチャブル王室への公然批判は、以前バンコクに駐在し、若くて気さくな笑顔で人気抜群だったシリントーン王女のフアンになり、今でも「国王賛歌」を口ずさむ、私の様な外国人にもショックだ。でも学生らの気持ちはよくわかる。ワチラロンコン国王(68)は1年の半分以上、ドイツの別荘で女性に囲まれて暮らしていると伝えられた。国民は親近感の持ちようもない。今年65歳の王女様には、もう国民との間の潤滑油役は無理だろうか。
(6)「米国人とマスク・本当に大丈夫?」
コロナ死者が30万人以上の米国で、なおマスクをせず叫んでいる集会参加者の映像を見ると、こちらまで心配になってしまう。マスク賛成派は共和党支持者では6割以下という。ウイルスは政党を選ばないのに。
ただ米国人のマスクへのわだかまりも少しわかる。例えば、道ですれ違っても自然に「ハロー」とスマイルを交わす。そんな米国流良俗もマスクに邪魔されてしまうのだから。
(元嘉悦大学教授)






