中国のウイグル弾圧強化、「一帯一路」推進の一環

ビル・ガーツ

 米議会の米中経済安全保障検討委員会が今月中旬に公表する予定の最新報告によると、中国治安当局は中国西部、新疆ウイグル自治区でウイグル人イスラム教徒ら少数派住民への弾圧を強めており、これは、インフラ投資を通じて開発途上国への影響力拡大を狙うシルクロード経済圏構想「一帯一路」推進の一環との見方を示した。

 報告は「(中国共産党)政府は(新疆ウイグル自治区で)、ウイグル人など少数派を標的とした大規模な弾圧計画を進めている。これら少数派の多くは、文化的、政治的に中国に帰属していないと考えている」と指摘している。

 新疆ウイグル自治区は、中国が「一帯一路」の中で提唱している六つの経済開発回廊のうちの三つの中心地であり、中国はこの回廊を通じて、南アジア、中東、欧州へと通商路を拡大しようとしている。

 中国は、その一環として、自治区内の反政府感情を抑え込むことを狙っているが、イスラム教徒であるウイグル人への弾圧は、パキスタン、インド、バングラデシュ、カザフスタンなど周辺各国からの反発を招いており、「中国のウイグル政策への反発が強まり、一帯一路構想への協力を渋る国が出てくる可能性がある」と報告は指摘している。

 自治区の収容所に拘束されているウイグル人は約100万人に上るとみられる。これは自治区内の少数派の8%に当たる。自治区の人口は2360万人だ。

 米国務省は、「中国は依然として、ただで労働力を手に入れ、刷り込みを行っている。『宗教的過激主義』とみなすウイグル人を抑え込むために、その行動を監視、制限している」と指摘している。

 中国は、弾圧のために先進技術を駆使し、声、DNAなど大量の生体情報を強制的に集めている。AI(人工知能)とビッグデータを使って、自治区内の全住民の身元、経歴を把握し、追跡を行っているという。中国はさらに、自治区内のウイグル人の拘束によって、海外に住む親族を脅し、国外の反体制派を封じ込めることも狙っている。

 報告によると中国政府は、自治区内での少数派弾圧に要する予算を2016年から17年にかけて倍増させた。この間に、中国国内の治安のための予算も、46億㌦から88億㌦へと増加した。