「プレス民主」刷り直し

野党に苦しんだ与党時代/国会改革に前向きな姿勢

 「巨大野党とまっ向から対決する」の見出しで刷り直しとなった民主党機関紙「プレス民主」11月1日号。桜井充政調会長インタビュー記事での誤植で、これを報じたマスコミは「与党ボケ?」(産経)などと揶揄(やゆ)した。

 これが1年前なら間違ってはいない。民主党政権は野党・自民党に悩まされていた。その因縁で、今臨時国会で懸案にのぼる首相や閣僚の委員会出席の負担を減らす国会改革に同紙は理解を示す。

 刷り直しが届いた11月1日号、桜井政調会長は「巨大与党とまっ向から対決する」の記事で、「国会運営のあり方については、民主党政権時に自民党は『総理が出席しなければ審議に応じない』と強硬姿勢を貫き、われわれは相当困りました」と述べている。

 また、民主党政治改革・国会改革推進本部長の岡田克也党最高顧問は同紙10月18日号で、「民主党も与党のときに当時の野党・自民党の非常に厳しい国会対応に苦しめられた経験があります」と語っている。

 さらに、岡田氏は「米国議会の混乱」、すなわち財政問題をめぐる民主党と共和党の激しい対立で大統領外遊も中止になる状況を引き合いに、「日本の国会も1年前は同じような状況で、『総理が国会に出ないと議論に応じない』と当時野党だった自民党などが主張し、野田総理は毎日のように国会に呼び出されていました。国民から見ていると……『国会が機能していないのではないか』ということだったのですね」と訴えた。

 ねじれ国会(議会)、支持率の低い首相(大統領)と、日米の民主党政権とも事情が似たのは奇遇だが、与党経験を経て「総理をはじめ閣僚が国会以外の仕事ができないということも起こってきた。そういうことはやはりまずい」(岡田氏)という認識が生まれた。果たして政治が成熟する過程となるだろうか。

 民主党政権は評価を下げたとはいえ、8党会派の細川護煕連立政権に比べ3年3カ月の政権担当は長い。与党経験のある野党が第2党であるということは、与党にとっては話が通じる相手がいるということだ。ところが、多くの場合、野党になると与党に埋没するイメージを恐れて「対決」色を打ち出そうとする。訂正後の見出しもその例に漏れない。

 ただ、現在の民主党の対決姿勢が政権獲得前のように支持を集めることはないだろう。「忌避政党」(海江田万里代表)と肌身で感じるとおり、15日の時事通信世論調査によると民主党支持率は3・2%で、自民25・8%はともかく公明3・3%より低い。9月から3カ月続いて3番手なのだ。これでは「反対」や「対決」も響かない。

 むしろ、自らの政策目標に照らし与党との協調点を探り、責任政党として与野党協調で政治実績を積むべきだろう。小泉政権時代に有事法制をめぐる修正で協調し、政党支持率は自民党も民主党も上がった。その伸びは自民に及ばなかったが、今の民主党は「巨大野党」ならぬ2番手の地歩を固めるべきだ。国会改革問題は有意義な踏み場となるだろう。

解説室長 窪田 伸雄