音楽に国境はないーイスラエルから
地球だより
アラブ首長国連邦(UAE)ドバイで開催中の国際博覧会(万博)で10日、イスラエルのフィルカット・アルヌール(光のオーケストラ)が演奏した。
団員は、ユダヤ人とアラブ人で構成され、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教ドルーズ派と宗教もさまざまで、信仰を持たない人もいる。青年から年配、思想的にも左から右までいる。もちろん男性と女性の混合だ。あらゆる面で多様性に満ちているこのオーケストラは、古典的なアラブ音楽のリバイバルを目指し、2013年に結成された。
創設者でユダヤ人指揮者のアリエル・コヘン氏によれば、団員はすべてオーディションで選ばれ、エジプトとイラクの演奏家が多いという。エジプト出身の女性バイオリニストが4人いるが、エジプトではステージで女性が歌うことはあっても楽器を演奏することはないという。
20人ほどの団員は、1台のバスに乗り込み海外演奏に出掛けるが、常に音楽を通じて語り合い、政治の話や議論はしない。ドバイ万博では、各国の展示場を見るよりも音合わせや練習に勤(いそ)しんだという。世界で戦争が起きていても、あらゆる異文化を持つ団員の間には、共通の音楽によって調和と平和がもたらされている。
ナザレに住む女性リード歌手のジハナ・ナダフさんは「私たちは家族のようで、兄弟です。音楽にどんな境界もない」と語る。
音楽を愛する心が一つになって演奏を披露したコンサートの模様は、ライブ中継によってアラブ諸国の数百万人に視聴された。(M)
(サムネイル画像:Wikipediaより)