中国 極超音速ミサイルに電磁パルス兵器搭載か
中国は、広範囲のあらゆる電子機器を破壊可能な電磁パルス兵器(EMP)の開発を進めており、新型の極超音速ミサイルに搭載される可能性がある。米議会諮問機関「国家・国土安全保障に関するEMPタスクフォース」の報告で明らかになった。
ピーター・プライ事務局長は報告で、中国は、広範囲の電子機器を破壊するために高高度で使用する「スーパーEMP」兵器を保有していると指摘。極超音速ミサイルに搭載することでその脅威は一層高まるとの見方を明らかにした。
報告は「中国は、核または非核EMP弾頭を搭載可能な極超音速兵器をまもなく配備、またはすでに配備している。これによって太平洋地域、米国への奇襲攻撃の脅威は大幅に高まる」と警告している。
極超音速ミサイルは、音速の5倍以上の速度で飛行し、誘導可能であるため、迎撃が困難とされている。
中国は、極超音速滑空飛行体「東風17」をまもなく配備することを明らかにしている。弾道ミサイルの先端に搭載され、高空で切り離された後は、目標まで滑空することが可能だ。
またスクラムジェットと呼ばれる特殊エンジンを搭載した極超音速巡航ミサイルも開発されている。両方とも精度が高く、核、通常どちらの弾頭も搭載可能と考えられている。
プライ氏によると、これらの極超音速兵器は、宇宙空間での核爆発に適しているという。これによって、自動車や兵器システムなど電子システムを破壊・混乱させることも可能となる。
EMP弾頭を搭載した極超音速ミサイルは、高度約100㌔を飛行させることで「空母や大陸間弾道弾(ICBM)などのEMP対策が取られている可能性のある地上、海上の標的に対するEMPの威力を最大化できる」という。
報告は「スーパーEMP弾頭の設計は、中性子爆弾など低出力戦術核に似ているが、中国の(極超音速滑空飛行体や極超音速巡航ミサイル用の)大出力通常弾頭よりもはるかに小型、軽量で効果的」と指摘している。
また、地上配備のICBM、潜水艦搭載ミサイルにスーパーEMP弾頭を搭載することで、中国は「一夜にして比較的小さな核抑止力(中国はこう主張している)を巨大な殺人兵器へと変える」ことができ、「米国のレーダーをかいくぐり、高高度電磁パルス(HEMP)『真珠湾』が実現可能になる」と、その脅威を強調している。
【メモ】
電磁パルス(EMP)攻撃 高高度での核爆発により大気中に強力な電磁波を発生させて電子機器に障害を起こし、電力や情報通信網を遮断・破壊する攻撃。大規模停電で都市機能がまひし、社会が大混乱に陥る可能性がある。核開発を進める北朝鮮が2017年にEMP攻撃に言及したことで、その名が知られるようになった。