米インド太平洋軍 宇宙レーダーなど最新兵器配備要求


対中抑止力強化へ

 米インド太平洋軍(INDOPACOM)が、高性能レーダー、長距離ミサイルなど最新の兵器を配備し、攻勢を強める中国に対抗する必要性を強調、2027年までの6年間で270億㌦を投じる計画を議会に提案していることが、ワシントン・タイムズが入手した提案書から明らかになった。

 計画によると「米国にとって最大の脅威は依然、通常兵器の抑止力が失われていることだ。有効で確実な抑止力がなければ、中国がこの地域で攻勢に出て、世界で米国に取って代わることになる」と対中抑止力の強化の必要性を強調。「インド太平洋地域の軍事バランスは好ましくない方向に向かっており、…敵国は現状を変えるため一方的な行動に出る可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

 デービッドソン司令官は4日、ワシントンで行われるアメリカン・エンタープライズ政策研究所(AEI)でこの計画を公表する。

 計画では、緊張が高まる東アジアで戦略的重要性が高まっているグアムに16億㌦で「固定式の360度防空システム」配備し、さらに、23億㌦で敵の動きを把握するための「宇宙配備レーダー衛星群」、33億㌦で中国との紛争に備える地上配備の長距離ミサイルを配備することを要求している。

 また、国防総省は、中距離ミサイルの東アジアへの配備も視野に入れている。これは19年の中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄で可能になったもので、国防総省のカービー報道官は、「世界的な態勢見直しの中で検討する」とインド太平洋地域への配備の可能性を示唆した。

(ワシントン・タイムズ特約)