中国寄りWHOに反発強まる


米「共産党の代理人」

 新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、世界保健機関(WHO)の中国寄り姿勢に非難が強まっている。

テドロス事務局長

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長=3月9日、ジュネーブ(AFP時事)

 中国は10年ほど前から、国際機関のトップに中国人や中国に近い人物を据えることを目指して活動してきた。WHOもその一つだ。

 WHO事務局長は過去に同じ国から選出されたことはない。そのため、中国は、2017年の香港のマーガレット・チャン事務局長退任後、エチオピアの微生物学者のテドロス・アダノム氏を後任に推した。

 テドロス氏は、左派与党ティグレ人民解放戦線の党員であり、保健相と外相を務めている。

 米共和党のリズ・チェイニー下院議員は、WHOの新型コロナへの対応のまずさを非難した上で、WHOは「中国共産党の代理人」と、両者の深い関係が感染拡大を招いた可能性を指摘した。

 ナバロ大統領補佐官も8日、FOXニュースで「中国はこの10年間、国際機関トップの選出に非常に意欲的に取り組んできた。すでに15機関のうち5機関を支配下に置き、WHOのテドロス氏のような植民地型の代理人を据えてきた」と、中国の影響力拡大に警鐘を鳴らした。

 「やがて中国の崩壊がはじまる」の著書があるゴードン・チャン氏は、「中国の主張を鵜呑(うの)みにしなければ、世界的感染拡大はなかっただろう」と、テドロス氏の辞任を要求した。

 一方で、WHOの対応を擁護する専門家もいる。米戦略国際問題研究所(CSIS)のスティーブン・モリソン副所長は、WHOの権限は限定的で、感染源である中国からデータを得るには、外交を駆使し「非常に複雑な国際環境を乗り切る必要」があったと指摘した。

(ワシントン・タイムズ特約)