アマゾンの孤立先住民族も感染 ブラジル


 ブラジルのマンデッタ保健相は8日、近代文明から孤立した生活様式を保っている先住民族ヤノマミ族から、新型コロナウイルス感染者が初めて確認されたと発表した。ブラジルのフォーリャ紙(電子版)などが報じた。

ヤノマミ族の子供たち

集落内で遊ぶヤノマミ族の子供たち=2013年7月(ブラジル通信)

 当局によると、感染したのは15歳の少年で、北部ロライマ州の州都ボアビスタにある病院で集中治療室(ICU)に入っているという。

 ヤノマミ族は、狩猟と採集を主な生活手段としており、約2万8000人が100以上の部族・氏族に分かれながら、ブラジルとベネズエラにまたがるアマゾン熱帯雨林内で暮らしている。部族の中には、熱帯雨林の奥深くで、石器時代に近い生活を行っている非接触部族も存在するが、近年は違法伐採と金の違法採掘業者などにより、その存在が脅かされている。

 ブラジルには約80万人の先住民族が住んでいるが、これまでに7人のウイルス感染が確認されている。

 先住民族の多くは森林などの保護区内で生活し、20世紀中頃までは文明との接触がほとんどなかった。そのため、伝染病に弱く、1970年代には、はしかやマラリアの流行で多くの命が奪われた。新型コロナウイルスは非常に感染力が強く、先住民族の間で流行した場合、壊滅的な打撃を受けると懸念されている。

(サンパウロ 綾村悟)